研究課題/領域番号 |
21K03986
|
研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
河合 俊和 大阪工業大学, ロボティクス&デザイン工学部, 教授 (90460766)
|
研究分担者 |
西川 敦 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (20283731)
西澤 祐吏 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院大腸外科・クオリティマネジメント室, 室長 (50545001)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 医用ロボット / マニピュレータ機構 / 斜交関節 / 音声操作 / タッチパネル操作 |
研究実績の概要 |
本研究では,執刀医の補助ツールとして小型で分散できるローカル操作マニピュレータの実現を目指して,患者と共存し医師と協働するマニピュレータの機構や制御に関する基盤技術を確立すべく,内視鏡下手術支援ローカル操作助手マニピュレータの構築と評価を目的としている.本年度は,術具装着マニピュレータと操作インタフェースについて以下の成果を得た. (1)ピボット運動を構成する回転2軸を水平面から30°および45°傾けることで三次元的な運動を行う斜交関節機構と,外径8 mmから16 mmでピッチ1 mmの3段入れ子構造の多段ねじで構成する挿入と抜去の直動伸縮機構を備える3自由度の鉗子マニピュレータを開発した.位置決め精度,機構たわみなどの機構特性を計測して,医師が本マニピュレータを手動および手元スイッチで操作して臓器モデルをハンドリングしながらスムーズに剥離切開できることを確認した. (2)執刀医の音声指示で手術支援ロボットを内視鏡モニタ内のアナログ時計の文字盤に見立てたクロックポジション指定位置へ駆動する音声操作システムを構築した.本システムは,音声認識エンジンJuliusに自作辞書を適用し,モニタ内の指定位置へ手術支援ロボットを30°毎の粗動,5°または1°毎の微動,連続駆動の3つの音声操作モードで駆動する.認識精度,認識時間,遅延時間,タスク所用時間を計測して,医師評価による提案システムの利点と要望を確認し,改善点と実験手法に関する知見を得て課題を明らかにした. (3)手術助手ロボットの位置姿勢を制御するタッチパネル式操作インタフェースを構築した.スワイプ操作で得る平面内の移動量とピンチ操作による拡大率を3自由度の鉗子助手ロボットの先端位置と一致させる逆運動学計算を行い,各関節の変位を得てモータ駆動する相対的なリーダーフォロワー制御である.タスク操作の所要時間は手元スイッチと同等であった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
術具マニピュレータについて,考案した斜交関節型を試作し,医師の評価実験を通じて有用性を確認できた. 操作インタフェースについては,新たに音声操作とタッチパネル操作の2方式を考案して構築し,評価実験を実施できた. 以上より,当初の計画におおむね沿った進展となった.
|
今後の研究の推進方策 |
術具マニピュレータについて,斜交関節とボールねじの特徴を生かした新たな機構を考案し,試作により機構特性を確認して,医師による模擬手術を行う. 操作インタフェースについて,組み込み系による制御システムの小型化を図り,学習による画像認識を制御指標とする新たな手法を構築する. 研究成果は,国内外の学術会議などで積極的に発表し,また,関連分野の研究者と議論した意見も真摯に取り入れ,研究分担者と協同して効率的に研究を推進する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 評価実験に係る消耗品費を抑制できたため. (使用計画) マニピュレータ機構や操作インタフェースの設計試作,および制御系構築と評価実験の実施に関し,機械電子の部品や材料,手術機材などの物品費に充当する.また,研究の打合せや成果発表など旅費に充当する.繰越し予算はとくに評価実験の充実に活用する.スピード感を持って本研究を推進するため,上記以外の経費が生じた場合にも,研究計画に変更が出ないよう対応する.
|