研究課題/領域番号 |
21K03992
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
北 裕幸 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (30214779)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 電力系統 / マイクログリッド / ヒートポンプ / コジェネレーションシステム / 蓄電池 |
研究実績の概要 |
本研究では,研究代表者らがすでに提案した,ヒートポンプとコジェネレーションを併用する熱電併給技術を,マイクログリッド(MG)に導入し,その等価的な蓄電機能を利用して,再生可能エネルギー電源の不安定な出力変動を抑制しつつエネルギー供給を継続できる防災型の地域MGの内部構成及び運用・制御手法を提案し,その有効性を明らかにすることを目的としている. 今年度は,防災型地域MGの内部構成・容量並びに対応する設備コストをエネルギーフローベースで算定した.すなわちMG内部には,太陽光発電と蓄電池,熱関連設備としてヒートポンプ,温熱から冷熱を作る吸収式冷凍機,蓄熱槽,地域熱供給配管,水素関連設備として水電解装置,燃料電池,水素専焼ボイラー,水素タンクの導入を考慮した.エネルギーの過不足に対しては電力あるいは水素の形で外部ネットワークに販売することもでき,PV の出力抑制や熱の大気放出による廃棄などをも認めている. 数値試算により,水素供給のための設備を導入することは買電量削減(すなわち自立的運用)と調整力確保の両面で効果的であることが示された.その際にかかる追加投資も現状の価格ベースではあるが,回収可能な範囲の追加投資で実現可能であることを確認した.言い換えれば,現状,火力発電で確保している調整力を,MG化することで,より安価でクリーンに確保できることになる.これは,将来の電力系統において大きな期待と言える. また,小型のガスタービンや太陽光発電のような分散型電源を持つ配電システムに対して,災害時に動的にマイクログリッドを構成することによって,多くの負荷に対して電力供給を行う方法についても検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,提案する防災型地域マイクログリッド(MG)をエネルギーフロー図でモデル化し,商用系統停電時においても,与えられたMG内の電力需要及び熱需要を満たすために必要な,ヒートポンプ(HP)/コジェネレーション(CGS)併用熱供給システムや蓄電池等の容量を算定するツールを開発することを目的としており,予定通り,研究を遂行することができた.CGSの燃料についても,水素を想定した試算も行っており,より一歩進んだ研究を実施することができたと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度に設計されたマイクログリッドの内部構成・容量に対して,商用系統と連系された平常時における防災型MGの短期の最適運用をシミュレートする手法を数理計画ベースで開発する.最適化においては,MGが外部から購入するエネルギーコストの最小化に加え,商用系統への依存度を予め低減しておくためのエネルギー自給率最大化,常時から災害時の余力を維持しておくための調整力最大化等が考えられる.
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