研究課題/領域番号 |
21K03993
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
梅村 敦史 北見工業大学, 工学部, 准教授 (90453795)
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研究分担者 |
高橋 理音 北見工業大学, 工学部, 准教授 (60301975)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 風力発電 / LMI制御 / 系統連系 / パワーエレクトロニクス |
研究実績の概要 |
従来、電力系統では多数の同期発電機を用いて発電をしているため同期発電機の持つ慣性と同期化力が系統の安定性に寄与してきた。風力発電機などの再生可能エネルギー発電は二酸化炭素排出抑制やエネルギーの地政学的リスクの低減のために、今後、導入が拡大していくと見込まれている。しかしながら、再生可能エネルギー発電の多くは変換器を介して系統と連系するため、一般的には、同期発電機の持っている慣性や同期化力を保持しない。その対策として、変換器に仮想的に慣性や同期化力を与えることによって系統の安定化に寄与させる研究開発が進められている。 本年度の調査研究によると、2008年代に欧州4か国からなる研究グループでは系統に導入しての実証試験が行われており、2021年には日本のメーカから仮想同期発電機制御を備えた6kVAの製品評価モデルの検証が報告されている。21年4月の電気学会電力エネルギー部門大会では、仮想同期発電機制御をキーワードにした発表が多数あり、関心が集まっている。仮想同期発電機制御の実系統の導入に際しては故障時などの事故時に安定性・安全性の保護機能をどのように実装しこれを検証していくかが課題となっている。当研究室でも仮想同期発電機制御の慣性や減衰定数などのパラメータを状況によって可変にする制御が系統安定化に寄与するなどの報告をしている。 仮想同期発電機制御の方法として大きく分けて、インバータの変換器が系統形成方式なのか系統追従なのかの2つがある。系統形成方式は系統の安定性に効果が高いが低電圧事故において、過大な電流を抑制するために、変換器をゲートブロックする必要がある。 本研究では、風力発電機などの連系インバータの仮想発電機制御のためにLMI制御による離散時間モデル追従制御の設計方法について提案する。これは電圧電流制御にモデル追従の機能とともに電流電圧制御の制限を組み込むことが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実証実験において、近年の半導体調達の遅れから実験装置の導入が年度末となった。そのため、実験の準備、実施が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の調査研究から、系統に導入した場合の事故発生時における保護機能の実装と検証が課題となっていることが分かった。また、電圧制御をもちいた系統形成方式が低電圧事故時の回復に有効であることもわかってきた。今後は、従来の電流制御によるLMI制御だけでなく、電圧制御と電流制御を組み合わせた制御を構築しこれにLMI制御の適用も検討する。 また、スイッチング周期ごとに離散時間制御則を導出するのではなく回転座標軸上での定制御則を用いた方式も検討する。この方法は、離散時間ごとに制御則を導出できないリスクの低減が期待できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験装置について、近年の半導体調達遅れにより、納品が遅れたため実験のための経費が残った。また、世界的なコロナの感染拡大が収束せず、国内学会及び国際会議が対面でなくなったためそのための旅費が残った。 次年度以降は、実験準備をすすめる。また、国内外の学会で対面で再開される会議には参加する予定である。
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