風力発電などの再生可能エネルギーは風況や天候によって出力が変動する。再生可能エネルギーによる発電電力を系統に連系するにはパワーエレクトロニクス技術による変換器を介して系統に連系する。従来の電力系統では同期発電機を用いて発電していたため同期発電機の慣性と同期化力が系統の安定化に貢献している。再生可能エネルギー発電が普及していくと同期発電機の割合が減少し系統の安定化能力が低減する可能性が心配される。再生可能エネルギー発電系統連系変換器にたいして仮想的に同期発電機を模擬できる機能をそなえる仮想同期発電機制御を導入の研究が進められている。仮想同期発電機制御には大きく分けて系統追従制御と系統形成制御の2つがある。系統追従制御は系統電圧を検出しその位相と同期して電流を制御する。一方、系統形成制御は内部に位相をもって、内部位相と同期して電圧を制御することで、系統との位相を用いて出力を制御する。一定周波数での電圧出力する場合と異なり、周波数が可変となるため従来の一定周波数の電圧の制御では定常誤差が残る問題がある。制御分野に現れる多くの問題は解析や設計のための未知変数に関する線形行列不等式(Linear Matrix Inequality(LMI))で表すことができる。 本研究では周波数をパラメータとしてフィードバックゲインを時刻に対して変化させるゲインスケジューリング制御を提案する。同期発電機を目標モデルとしたシステムのゲインスケジューリング制御を導入することで仮想的な同期発電機制御を目指している。 目標モデルを含めた全体システムは可到達ではないが部分的に安定化できれば目標モデルに追従できることはわかっている。実験による実証については出力LCフィルタを設計し、可変力率負荷と三相同期発電機で構成したスケールダウンした実験システムを構築した。
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