研究課題/領域番号 |
21K04000
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
小寺 紗千子 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40874219)
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研究分担者 |
平田 晃正 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00335374)
増田 宏 久留米大学, 医学部, 助教 (10321861)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 生体電磁 / 人体ばく露 / 国際標準化 / 温度上昇 / 温熱生理応答 |
研究実績の概要 |
前年度までに開発した、機械学習による頭部のMR画像から熱パラメータを推定可能とする手法を用いて、電磁界・熱の各パラメータにおける非セグメンテーションモデルを構築した。非セグメンテーションモデルとは、従来手法のようにMR画像から対応する生体組織にセグメンテーションを行わず、直接、深層学習を用いて熱パラメータを推定する手法である。この提案手法により、水分含有量の違いなどによって個々人間で異なる熱パラメータを考慮した電波の安全性評価が可能となる。 この非セグメンテーションモデルを用いた解析の有効性を確認するために、ダイポールアンテナからの放射時における局所SAR、温度上昇について、従来のセグメンテーションモデルと開発した非セグメンテーションモデルに対しそれぞれ解析を行い、両者の結果について比較した。その結果、局所SARは10%以内の誤差で一致、最大温度上昇は、5%以内の誤差で一致し、開発した手法の有効性について示した。 また、モデル間のばらつきについて評価するために、変動係数を導出した。その結果、変動係数は、非セグメンテーションモデルにおいてやや小さくなる結果となり、また局所SARのモデル間のばらつきよりも温度上昇のばらつきのほうが小さくなることを示した。さらに、SAR分布、温度上昇分布についても、両者の傾向はおおむね一致したが、非セグメンテーションモデルでは、組織境界における電気的パラメータ、熱的パラメータが滑らかに変化するため、組織境界面におけるSAR分布、温度上昇分布が改善された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
構築した頭部モデルを複数体用いることにより、提案手法の有効性についてより客観的指標を用いて評価を行った。また、複数頭部モデルを用いた波源選定についても、複数のばく露条件において複合物理解析を行い、実際の電波の生体影響の因子となる体温上昇を指標に、統計的処理を加えながら評価を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
対象となるアンテナ種類を増やし、提案手法の有効性について評価を行うとともに、アンテナ形状、周波数、アンテナーモデル間距離など、さらにばく露条件を選定して複合ばく露解析を行い、データベースを拡充、統計的処理により電波ばく露における温度上昇に影響を与える複数因子の評価を行っていく。特に、近年6GHz以上の基本制限値として新たに導入された吸収電力密度についても評価対象として検討していく。
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