研究課題/領域番号 |
21K04003
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
寺西 研二 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (80435403)
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研究分担者 |
白井 昭博 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 准教授 (40380117)
岡久 稔也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任教授 (60304515)
曽我部 正弘 徳島大学, キャンパスライフ健康支援センター, 教授 (60732790)
中川 忠彦 島根県立大学, 看護栄養学部, 講師 (40634275)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 放電プラズマ / 炎症性腸疾患 / 化学活性種 / ヒトT細胞 / プラズマ照射溶液 |
研究実績の概要 |
今年度はアルゴン誘電体バリア放電を生理食塩水に照射した際に発生する放電プラズマの発光特性を理解することを目的として,高速度ICCDカメラを用いて放電発光を時間分解写真撮影した。また,これまで放電ガスにアルゴンを用いた場合では,活性酸素種として過酸化水素が生成されることを確認したが,今後は活性窒素種の生成と細胞への影響を調査するため,放電ガスであるアルゴンに微量の窒素を添加した際の化学活性種の生成特性についても調査した。放電発光の観測では,電極間に印加した交流高電圧1周期中で発生する放電発光を高速度ICCDカメラを用いて時間分解して観測したところ,1周期のうち電圧が正負に立ち上がる時間において放電発光が観測され,放電が誘電体バリア放電であることを確認した。放電は高電圧電極側の誘電体バリアである試験管の球底部の中央付近から発生し,試験管球底部表面に強い発光と,電極間では複数の筋状の発光が観測され,それぞれ沿面バリア放電とマイクロ放電と考えられる。これらの発光は印加電圧の上昇に伴って徐々に強く発光する様子が見られた。放電ガスであるアルゴンに微量の窒素を添加して生理食塩水をプラズマ処理した際の化学活性種の調査では,プラズマ処理した生理食塩水の吸光度スペクトルを紫外可視分光光度計を用いて観測したところ,アルゴンに微量の窒素を添加することで200 nm付近の吸光度ピークが増大する結果が得られた。これは窒素酸化物由来のイオンが発生していることを示唆している。そこでパックテストを用いて硝酸イオンと亜硝酸イオンの検出を試みたところ,溶液中から亜硝酸イオンが検出され,活性窒素種が生成されていることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アルゴン誘電体バリア放電を生理食塩水に照射した際に発生する放電発光を高速度ICCDカメラにより時間分解観測することで,放電発光特性について詳細な情報を得ることができたことに加え,放電ガスであるアルゴンに微量の窒素を添加することで,活性窒素種の一種である亜硝酸イオンが生成されることを確認できた。従って研究は概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は放電ガスであるアルゴンに微量の窒素を添加した際の放電現象の詳細な検討に加え,アルゴンガスのみで発生させた放電現象との違いなどについて考察する予定である。また,アルゴンに微量の窒素を添加した放電ガスを用いて生理食塩水にプラズマ照射を行い生成したプラズマ照射溶液をJurkat細胞に投与・曝露した際の細胞への影響を調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:令和4年度は本研究に関連する研究成果について学会発表等を行わなかったことにより,旅費の出費が少なかったため次年度使用額が生じた。 使用計画:研究成果発表のための旅費に加え,実験に必要な消耗品の購入に使用予定である。
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