研究課題
本報告では、令和3年度から始まったプロジェクトの最終年度にあたる令和5年度の研究成果と、過去3年間の成果全体についてまとめます。本研究の主目的は、大気圧非平衡アーク陰極点の移動現象を解明し、それを応用した新しい表面処理技術の開発に寄与することです。最終年度にあたる令和5年度では、AI技術を活用した高効率なシミュレーション手法と、改良された電磁熱流体解析手法を用いて、陰極点の移動現象を詳細に調査しました。その結果、初期圧力と磁束密度の変化時におけるイオン分布や電子温度の挙動を明らかにすることができました。また、パルス電流発生回路と磁界印加装置を用いた陰極点の多点分光計測手法を確立しました。具体的には、同期された多点分光情報とハイスピードビデオカメラ画像をAI分析することで、陰極点の分裂、消滅、移動軌跡、酸化膜処理時と非処理時の現象を可視化し予測する技術も確立しました。これらの技術により、大気圧非平衡アークの制御に向けて必要な物理現象の把握とその各種パラメータ範囲に関する知見を得ることができ、従来よりも低真空下での表面処理技術の実現に向けた一歩となりました。この技術は、産業界における高度な材料加工技術への応用が期待され、特に航空宇宙産業や半導体産業において、より精密な材料表面の改質が求められている現場での利用が見込まれます。この技術の社会的な意義は大きく、産業界全体のイノベーションを促進する可能性を秘めています。最終年度にあたる令和5年度の成果は、これまでの研究の集大成として、国際会議や学術誌にて発表予定です。今後の研究では、さらに精度の高いシミュレーション技術の開発や、実験設備の向上に努め、得られた知見を基に実用的な応用へとつなげていく計画です。本研究は、新しい科学的知見を提供するだけでなく、実用的な技術への応用により、産業界に大きな影響を与える可能性を持っています。
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