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2022 年度 実施状況報告書

生体内がん治療に向けた医療用プラズマデバイスの開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K04012
研究機関佐世保工業高等専門学校

研究代表者

柳生 義人  佐世保工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (40435483)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード非平衡大気圧プラズマ / プラズマ医療 / プラズマ医療用デバイス / 多孔質膜 / マイクロプラズマ
研究実績の概要

本研究では,生体内の部位によらず既存の照射法より有効かつ低侵襲な生体内がん治療法の確立を目指し,多孔質膜を利用することで液中においても活性種を供給することができるプラズマデバイスの開発およびその特性や発生する活性種が細胞へ与える影響を明らかにすることを目的として研究を行っている。2021年度には,気相と液相を多孔質膜で分離することのできる非平衡大気圧プラズマ源のプロトタイプを開発し,2次元培養したヒト肝芽腫細胞(Hep G2; JCRB1054)への効果を確認した。2022年度は,スフェロイド培養したヒト肝芽腫細胞への影響を調査するため,印加電圧8kV,パルス幅500ppsでプラズマ照射を行った。その結果,処理時間が長くなるに従い生細胞率は減少していく傾向を示し,120秒の処理において生細胞率は約60%まで減少した。以上より,本研究で開発したプラズマデバイスは,スフェロイド培養したHepG2細胞の生細胞率を減少できることが示された。また,非平衡大気圧プラズマ源から発生するOHラジカルの有無について,テレフタル酸がOHラジカルをトラップして発する蛍光を利用して調べた。OHラジカルの蛍光観測の励起光源には,紫外線ランプ(波長310nm)を用い,露光時間120秒で観測を行った。プラズマ処理時間に依存して,蛍光強度が強くなるとともに蛍光を発する範囲が広がることが示されたが,OHラジカルが滲出する範囲には限度があることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究で開発した多孔質膜を介した大気圧プラズマ源の平板培養およびスフェロイド培養したヒト肝芽腫細胞(Hep G2; JCRB1054)への不活化効果を確認した。年次計画に沿って,テレフタル酸によるスピントラッピング法を用いて,OHラジカルに代表される短寿命活性種の有無を明らかにすることができたため,本研究は順調に進展しているといえる。一方,購入予定であった蛍光マイクロプレートリーダーの導入が遅れているが,次年度前期に購入する予定である。

今後の研究の推進方策

引き続き,生体内の3次元的ながん細胞の凝集体であるスフェロイドを用いて,本研究にて開発した大気圧プラズマ源の多孔質膜を通過する活性種が,がん細胞死を引き起こす照射時間や活性種濃度を明らかにする。3次元培養したがん細胞スフェロイドに与える影響を調査する。また,2次元培養したがん細胞と比較することで,がん組織内への活性種の浸透効果を調べる。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍に加え昨今の半導体不足で,昨年度に引き続き「蛍光マイクロプレートリーダー」の導入が遅れてしまい,次年度使用額が生じた。次年度には,物品が市場に出ることが分かっているため,R5年度前期に購入する計画である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件) 産業財産権 (1件)

  • [学会発表] 生体内がん治療に向けたプラズマデバイスの開発および肝がん細胞への照射効果2022

    • 著者名/発表者名
      濵村航大,柳生義人,馬塲雄成,大島多美子,日比野祐介,猪原武士,佐竹卓 彦,川崎仁晴,林信哉
    • 学会等名
      第39回プラズマ・核融合学会年会
  • [学会発表] 生体内がん治療に向けた大気圧低温プラズマ照射装置の研究開発2022

    • 著者名/発表者名
      濵村航大,柳生義人,馬塲雄成,林信哉
    • 学会等名
      電気設備学会 2022年(第4回)学生研究発表会
  • [産業財産権] プラズマ発生装置及びそれを用いた治療装置2022

    • 発明者名
      柳生義人,林信哉
    • 権利者名
      独立行政法人国立高等専門学校機構,国立大学法人九州大学
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2022-181278

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公開日: 2023-12-25  

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