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2023 年度 実施状況報告書

機械学習を活用したデータ駆動型研究手法による電気絶縁材料劣化機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K04024
研究機関愛媛大学

研究代表者

弓達 新治  愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 助教 (40380258)

研究分担者 門脇 一則  愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (60291506)
尾崎 良太郎  愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (90535361)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードフェーズフィールドシミュレーション / 電気トリー / 絶縁材料 / 多層構造 / 弾性率
研究実績の概要

電気トリーイング現象は絶縁材料における全路破壊の前駆現象と考えられている。本年度は,弾性率の異なる2層モデルについて,電気トリー進展のフェーズフィールドシミュレーションをおこなった。近年,電気トリー進展による絶縁材料の全路絶縁破壊の抑制を期待して,そもそもの絶縁耐力に優れる高弾性率材料だけでなく,低弾性率材料を組み合わせた新規絶縁材料が提案されている。高弾性率材料のみを用いた場合よりも,全路破壊に至る電気トリー進展が抑制され,絶縁耐力が向上することを示す実験結果が報告されている。
弾性率の異なる2層モデルにおける電気トリー進展のフェーズフィールドシミュレーションをおこなうにあたって,電気トリー進展の主要な駆動力として,静電エネルギーだけでなく,弾性ひずみエネルギーを考慮した。低弾性率層中に配置された針電極先端で発生した電気トリーが,分岐を繰り返して樹脂状に,低弾性率層中を進展することが再現された。低弾性率層と高弾性率層の界面に到達した電気トリーは,界面を通過して,そのまま高弾性率層を進展して全路破壊に至るのではなく,電気トリー先端領域において電界緩和を生じた結果,主に界面付近を進展した。高弾性率層のみからなるモデルと比較することで,実験結果と同様に,弾性率の異なる2層モデルを用いた場合について,全路破壊に至る電気トリー進展抑制と絶縁耐力向上が確認された。新規絶縁材料の絶縁耐力向上要因を探ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

弾性率の異なる2層構造サンプルにおいて,高弾性率のみからなるサンプルよりも高い絶縁耐力を示す場合があることが報告されている。弾性率の異なる2層モデルについて,電気トリー進展のフェーズフィールドシミュレーションをおこなった。電気トリーが分岐を繰り返して樹脂状に進展することを再現できた。高弾性率層のみからなるモデルと比較することで,弾性率の異なる2層モデルを用いた場合の絶縁耐力向上が確認された。2層の弾性率の違いが.全路破壊に至る電気トリー進展を抑制し,絶縁耐力を向上させる要因を考察することができた。

今後の研究の推進方策

本年度,各種の実験データを活用した数値シミュレーションであるフェーズフィールド法を新たに提案されている電気絶縁材料に適用した。本年度は弾性率の異なる2層構造について計算した。今後,弾性率の異なる3層構造を含む多層構造について計算する。また,各層の層厚を最適化することで,より絶縁耐力に優れた絶縁材料モデルを求めて提案する。それに伴い,電気的特性,機械的特性に関わるパラメータだけでなく,多層モデル構築に関わるパラメータの最適化が必要となる。機械学習を用いることで,最適な構造・モデルを速やかに求めることを目指す。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件)

  • [雑誌論文] Simultaneous Measurement of Space Charge Distribution and Leakage Current in 6.6 kV CV Cable under Polarity-reversed Voltage2023

    • 著者名/発表者名
      Kazunori Kadowaki, Mayu Maehata, Takato Kaji, Shinya Ito, Shinji Yudate, and Ryotaro Ozaki
    • 雑誌名

      Proceedings of 2023 International Symposium on Electrical Insulating Materials

      ページ: 53-56

    • 査読あり
  • [学会発表] 絶縁材料中の空間電荷蓄積挙動の機械学習に必要なデータ数の検討2024

    • 著者名/発表者名
      井道 瑠璃,弓達 新治,尾崎 良太郎,門脇 一則
    • 学会等名
      令和6年電気学会全国大会
  • [学会発表] 低密度ポリエチレンへの空間電荷注入のステアリン酸濃度依存性の測定および解析2024

    • 著者名/発表者名
      加地 貴登,弓達 新治,尾崎 良太郎,門脇 一則
    • 学会等名
      令和6年電気学会全国大会
  • [学会発表] MgO 微粒子添加による低密度ポリエチレンの空間電荷蓄積の変化2023

    • 著者名/発表者名
      長瀧 優人,弓達 新治,尾崎 良太郎, 門脇 一則
    • 学会等名
      令和5年度 電気・電子・情報関係学会四国支部連合大会
  • [学会発表] 絶縁材料中の空間電荷蓄積挙動解析への機械学習の適用に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      井道 瑠璃,伊達 充輝,弓達 新治,尾崎 良太郎, 門脇 一則
    • 学会等名
      令和5年度 電気・電子・情報関係学会四国支部連合大会
  • [学会発表] 弾性率が異なる 2 層モデルを用いた電気トリー進展のフェーズフィールドシミュレーション2023

    • 著者名/発表者名
      立花 友也,弓達 新治,尾崎 良太郎, 門脇 一則
    • 学会等名
      令和5年度 電気・電子・情報関係学会四国支部連合大会
  • [学会発表] 直流高電界下におけるポリエチレンの空間電荷蓄積と電流に対するステアリン酸の添加の影響2023

    • 著者名/発表者名
      加地 貴登,弓達 新治,尾崎 良太郎, 門脇 一則
    • 学会等名
      令和5年度 電気・電子・情報関係学会四国支部連合大会
  • [学会発表] MgO 粒子を添加した低密度ポリエチレンの空間電荷分布と電流のシミュレーション2023

    • 著者名/発表者名
      伊達 充輝,長瀧 優人,弓達 新治,尾崎 良太郎, 門脇 一則
    • 学会等名
      令和5年度 電気・電子・情報関係学会四国支部連合大会
  • [学会発表] ディスオーダーモデルに基づいた低密度ポリエチレンの移動度の負の電場依存性に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      金光 泰輝,大野 玲,飯野 裕明, 弓達 新治,尾崎 良太郎, 門脇 一則
    • 学会等名
      令和5年度 電気・電子・情報関係学会四国支部連合大会

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公開日: 2024-12-25  

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