研究実績の概要 |
最終年度は前年度に未実施項目が残っていた「非接触給電システムの制御法や推定法の構築」に加えて、予定していた「シミュレーションと実機実験による有効性検証」を実施した。 非接触給電コイルの状態(位置, 距離)を考慮し、印加電圧に同期した回転座標系上における数式モデルを導出した。位置と距離はインダクタンスに考慮しモデル化を行った。導出した数式モデルによって、三相ではなく、直交座標上かつ直流量で特性を評価できるようになった。シミュレーションモデルにおいても、三相変圧器による回路モデルではなく、回転・直交座標上での状態方程式による表現で実現できるようになった。さらに、非接触給電コイルの実機を用いて数式モデルのパラメータ詳細について測定値も取得した。測定結果に基づき電流制御特性を比較検討したが、制御の誤差が大きく、数式モデルの妥当性を含めて本課題の研究期間後も引き続き研究を進める予定である。 本研究の研究期間全体を通して、モータ駆動システムと同様の構成として回転座標上での電流制御器と三相インバータの組み合わせを実現でき、制御法の構築に必要な数式モデルを得ることができた。非接触給電では単相コイルを1対1で使用することが多く、三相交流で直交成分を用いるベクトル制御の考え方は積極的に利用されていなかった。三相巻線による給電コイル構成を用いることでベクトル表現が容易であることに注目したが、導出した数式モデルはまだ制御に容易に利用できるところまで整理・簡略化できておらず引き続き検討が必要な課題も残った。
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