研究実績の概要 |
ブレークスルーとなったMIT(Massachusetts Institute of Technology)のグループからの論文の発表から10年強が経過し、ワイヤレス給電の研究開発は基礎理論の確立から実用化を見据えたフェーズへと移行しつつある。例えば、電気自動車(EV)用の給電においては85kHz帯を用いることが決まり、この周波数帯での開発が加速している。一方で、MHz帯ISMバンドにおける高周波帯ワイヤレス給電システムの開発も、システムの小型化、軽量化、送電距離の延伸が望めることから、重要な研究開発目標となっている。この周波数はGaN, SiC等の次世代ワイドギャップ半導体の応用としての注目度も高い。 本研究では、負荷非依存モードを適用した、一送電多受電高周波高効率ワイヤレス給電システムを開発することを目的とした。本フェーズでは、主に確立した理論を用い目標とした1送電5受電ワイヤレス給電システムを設計し、実機実装による動作確認を行った。その結果、高周波動作と高効率動作を達成することを確認することができた。本フェーズは、構築した理論の妥当性、有効性を例証する側面も持つ。本研究を通じて、MHz帯ISMバンドにおける高周波帯ワイヤレス給電システムの開発では、磁界結合部を適切にモデリングすることが極めて重要であることが示唆された。
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