• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

放電現象の知見に基づいてナノ秒パルス放電に特化したプラズマアクチュエータの開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K04037
研究機関神戸市立工業高等専門学校

研究代表者

赤松 浩  神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (10370008)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードプラズマアクチュエータ / ナノ秒パルス電源 / 衝撃波 / 無人航空機
研究実績の概要

気体の放電現象を直接的に流体運動に変換できる超薄型デバイスとしてプラズマアクチュエータ(PA)があり,航空機の失速時の揚力回復機構等に期待されている.近年ではPAを駆動する電源としてナノ秒パルス高電圧電源を使用したPAの有効性が報告されている.本研究ではPAの実用化にとって重要なPA電極系の耐久性向上を目的としている.小型無人航空機に搭載可能なバッテリー駆動の小型パルス高電圧電源の開発と,放電現象工学の知見に基づいてパルス放電に特化した電極構造を提案することで,耐久性を備えたPAデバイスの開発を試みる.
2022年度の実施内容は,(1)2021年度に試作したバッテリー式小型ナノ秒パルス電源を使用した場合のPA電極機構の最適化および(2)回路素子数を減らし,より簡略化した小型パルス高電圧電源の開発である.
(1)において,限られたバッテリーのエネルギーを有効にPAに付与するため,誘電体厚さおよびパルス電圧の極性がPAへの投入エネルギーに与える影響を調べた.誘電体厚みについて80umおよび160umの場合で評価した結果,80umの方が投入エネルギー密度が大きいことが分かった.またパルス電圧の極性は,正極性の方が投入エネルギー密度が大きいことが分かった.
(2)において,パルス幅がマイクロ秒のパルス高電圧電源に着目した.近年,マイクロ秒パルス高電圧でのPAにおいてもナノ秒パルス電源と同様に,放電の衝撃波が気流制御を担うことが報告されている.ナノ秒パルス電源に比べ,マイクロ秒パルス電源は素子数を低減できる長所がある.試作電源では,次世代半導体スイッチの高速遮断作用を用いた誘導性パルス発生回路を試作した.本電源において,入力電圧24 Vに対して波高値3.5 kV,パルス幅1u秒,繰り返し周波数200 Hzのパルス高電圧の発生を確認した.また,本電源においてPAの点灯を確認した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画では,2022年度においてパルスにともなう流体挙動の観察を実施する予定であった.しかしながら,PAの電極構造の検討およびマイクロ秒パルス高電圧電源の試作に時間を費やしたため,衝撃波の観察および気流の可視化に関する実験が間に合わなかった.また,ナノ秒パルス高電圧印加によるPA上での衝撃波の発生について,数値解析コードの作成を開始した.現時点では,単純なケースにおいてパルス放電にともなう荷電粒子の挙動を模擬するところまで完成している.

今後の研究の推進方策

2022年度の実験において,従来のPA電極系において,ナノ秒パルス高電圧電源による電極構造の最適化が検討できた.今後はそれらの結果を踏まえ,本課題で提案する新電極方式におけるパルス放電現象を,シュリーレン撮影およびPIV計測により観察する.
とくに,当初予定していたナノ秒パルス高電圧電源だけでなく,2022年度に試作したマイクロ秒パルス高電圧電源において,パルス放電にともなう衝撃波が発生するか否かについても明らかにする.これらの実験をとおして,提案する新電極系の有効性および耐久性を明らかにする.また,2022年度から開始したPAのパルス放電現象および衝撃波の発生についての数値解析を進め,実験結果の補間とする.

次年度使用額が生じた理由

計画では,スパン長の長い航空機翼を造形するための3Dプリンタの購入を計画していた.しかし,計画当初に予定した大型造形できる3Dプリンタが製造終了となっていたため,購入できなかった.
次年度の使用計画として,3Dプリンタをフレーム,制御ボード等の部品から購入し,製作する.また,成果発表として研究代表者および学生を含めた成果発表の機会を増やし,学会発表の参加費および旅費に充てる.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件)

  • [学会発表] Effect of Dielectric Layer Thickness and Applied Voltage Polarity on Input Energy Density in Nanosecond Pulsed High Voltage Plasma Actuator2023

    • 著者名/発表者名
      Yusuke ENDO, Hiroshi AKAMATSU
    • 学会等名
      The 16th International Workshop on Plasma Application and Hybrid Functionally Materials
    • 国際学会
  • [学会発表] Optimization of Plasma Actuator Driven Conditions with Battery-Powered Nanosecond Pul sed Power Supply2022

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Akamatsu, Yusuke Endo
    • 学会等名
      ISNTP-12 & ISEHD 2022
    • 国際学会
  • [学会発表] Inductive Pulsed Power Supply with High Speed Opening Switch for Plasma Actuator2022

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Akamatsu, Kanta Fujimoto
    • 学会等名
      The 13th Intl. Symp. on Applied Plasma Science
    • 国際学会
  • [学会発表] プラズマアクチュエータ初学者用の小型高電圧電源の開発2022

    • 著者名/発表者名
      赤松浩,井上進矢
    • 学会等名
      第46回静電気学会全国大会
  • [学会発表] ナノ秒パルス高電圧方式DBDPAに対する印加電圧極性と瞬時電力の評価2022

    • 著者名/発表者名
      遠藤優介,赤松浩
    • 学会等名
      令和4年電気関係学会完済連合大会,
  • [学会発表] プラズマアクチュエータ用小型高電圧電源の回路素子の最適化2022

    • 著者名/発表者名
      井上進矢,赤松浩
    • 学会等名
      令和4年電気関係学会完済連合大会,

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi