ハイブリッド電気自動車では,単相昇圧コンバータと2レベルインバータが用いられているが,電源部のさらなる高効率化が求められている。その手法の一つとして,インバータに3レベルの電圧を出力可能なTタイプインバータまたはNPC(Neutral-Point-Clamped)インバータを適用する方法がある。また、高効率化および信頼性向上のための方式として、電気二重層キャパシタ(EDLC)と二相昇圧コンバータを組み合わせた複数電源方式の回路が提案されている。本研究では、3レベルインバータへの応用に適し、かつ、EDLCを用いた複数電源方式の新しい昇圧コンバータの開発を行った。従来回路は,直列接続された4つのスイッチと1つのバッテリーを用いて、昇圧と中性点電位制御が可能な回路である。一方,提案回路に求められる制御性能は3つであり、昇圧、中性点電位制御、そしてEDLCの電流制御である。本研究では、高効率、信頼性向上、小サイズ、低コスト化のため、少ないスイッチを用いた最小の回路構成で、上記の3つの制御を実現する回路および制御方式について検討を行った。制御方式にはPI制御を用い、従来回路の制御系設計手法を適用した。結論として、提案回路は、従来回路に比べ、スイッチ1つの追加のみで、求められる制御を実現可能であることをシミュレーションにより示した。さらに、提案回路の昇圧、中性点電位制御、そしてEDLC充放電の各出力モードを解析し、従来回路との動作モードの違いを明らかにした。
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