研究課題/領域番号 |
21K04042
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
篠原 真毅 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (10283657)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ワイヤレス給電 / マイクロ波送電 / レクテナ / 整流回路 |
研究実績の概要 |
本研究では空間伝送型ワイヤレス給電のうち、narrow beam型ワイヤレス給電のための大電力受電整流回路の開発、が主目的となる。大電力受電整流回路では開発例が少ない周波数5.7GHzで10W出力、効率70%以上を目標とする。手法は2つ、1) 既存ショットキーバリアダイオードを用いた受電整流回路を、弱電用整流回路で用いられる手法論である回路インピーダンスの最適化等で高効率化を図る、2) 並行しリジットの整流回路ではあまり例のないHEMT等3端子半導体を用いた大電力整流回路の開発、である。初年度に研究実施したシングルシャント整流回路、チャージポンプ整流回路、フルブリッジ整流回路の大電力化に関する理論計算及び計算機シミュレーションに引き続き、2年目である今年度はシングルシャント整流回路に注目し、研究開発を行った。 従来用いられてきたF級負荷型シングルシャント整流回路に加え、新たにR級負荷型シングルシャント整流回路を考案し比較検討を行った。その結果、理想ダイオードを用いた整流回路ではそれぞれほぼ100%近いRF-DC変換効率を実現したものの、整流波形を確認したところ、F級負荷型整流回路の方が電圧振幅が小さいため負荷抵抗を大きくすることができる。言い換えると、ダイオード電流の時間平均を小さくすることができることが分かった。ショットキーバリアダイオードの故障原因はダイオード電流の過大による熱暴走であることから、F級負荷型整流回路のほうがR級負荷型整流回路に比べて大電力に向くという結論となった。実際に製作した整流回路でRF-DC変換効率を測定した結果、F級負荷型では入力電力3.96Wの時に効率68.5%、出力電圧11.7Vであったのに対し、R級負荷型では入力電力4.22Wの時に効率74.0%、出力電圧14.8Vと、F級負荷型のほうが電圧が低く出るために大電力に向くことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画による、新設計手法による整流回路の理論検討と計算機シミュレーションに引き続き、当初目的を達成する整流回路方式を選択し、予定通り実験も行ったため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに大電力化に最適な回路方式の選択を行ってきたが、最終年度である今年度は最も整流可能電力を決める半導体をダイオードからHEMT等3端子半導体に変更し、最終体にnarrow beam型ワイヤレス給電のための大電力受電整流回路開発の目的を達成する。
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