研究課題/領域番号 |
21K04045
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
京地 清介 工学院大学, 情報学部(情報工学部), 准教授 (70634616)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 凸最適化 / エピグラフ緩和 / LiGME罰則関数 / グループスパース性 / 解析的指向性コサインフレーム |
研究実績の概要 |
研究代表者は前年度の検討にて「凸性と狭義増加性を満たす関数によって構成された任意層の深層合成正則化関数を伴う最適化問題は,エピグラフ変形(合成正則化関数を最外殻ノルム関数と,内部のノルム関数で定義されるエピグラフ制約に分解する手法)によってその大域的最小解の求解が可能」であることを示した. 現状の合成正則化関数の各層は単一ノルム関数であることを仮定していたが,今年度は各層に複数関数の線形和を導入した.その際エピグラフ変形による大域的最小解の求解可能性の理論的検証と,当該フレームワークを利用した具体的な正則化関数の実現例を構成し,信号復元に応用することで精度をさらに向上させることを目指して検討を行なった. 以下に具体的な成果を示す. 成果1:深層正則化関数の各層が複数ノルムの線形和で構成されている場合においても, 個々の関数のエピグラフ制約に分解することで最小解の求解が可能であることを理論的に示した. 成果2:従来,スパース性促進のL1ノルムに対してHuber関数との差分(LiGME罰則関数と呼ばれている)を導入することによって,正則化関数としては非凸でありながら,目的関数全体としては凸性を維持でき,さらに非凸正則化によってより正確な信号復元が達成できることが知られている.本研究では,深層正則化関数にHuber関数との差分を導入することによって,非凸関数としてグループスパース性を促進しながら全体の目的関数としては凸性を満たすことが可能となることを示し,前年度よりもさらに高性能な画像復元精度に達することを示した. 実績3. 前年度開発した指向性を有するフレーム(基底)の設計法において演算量を削減するための行列分解法を構成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であった「深層合成正則化関数の各層への複数関数の線形和の導入」を達成し,前年度の画像復元の性能を上回る手法を具体的に構成することができた.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通りに,3年目は各層の重み付き線形和のノルム関数をデータセットから学習するためのアルゴリズムを構成し,画像復元へ応用することでその有効性を検証する.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額の生じた理由として,研究の進捗状況に合わせて,当初研究で使用する予定にしていた高性能PCの購入を延期したことと,予定していた国際会議1件の参加が無くなったことが挙げられる. 最終年度,高性能PCが必要となる学習の検討を行うため購入し,最後のシミュレーションで活用する予定としている.
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