本研究では、無線セキュリティへの応用を目的として、伝搬特性の局所性を突破する技術の開発を目指した。その実現技術として、アレーアンテナに圧縮センシングによる信号処理を組み合わせた方式を検討した。圧縮センシングの処理における閾値設定を改良し、マルチキャリア信号を用いた場合の性能評価を行った。その結果、マルチキャリア信号を用いた場合には、フェージング環境の相関距離を大きく超える約35波長まで推定可能であることを示した。また、無線セキュリティ技術に関して、空間選択性変調方式、および、量子化符号語不一致低減と誤り訂正符号を併用する秘密鍵共有方式を提案し、それらの性能を明らかにした。
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