研究課題/領域番号 |
21K04050
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研究機関 | 函館工業高等専門学校 |
研究代表者 |
丸山 珠美 函館工業高等専門学校, 生産システム工学科, 教授 (90735523)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ワイヤレス電力伝送 / リフレクトアレー / メタサーフェス / 八木宇田アンテナ / レクテナ / WPT / 5G / IoT |
研究実績の概要 |
本研究では,空中に存在する,移動通信やWi-Fiの電波を、ワイヤレス電力伝送の技術により電力に変えてIoT端末に用いられるセンサーなどの駆動に用いるエネルギーハーベストの実現を目的として以下の検討を行った. (1) 通信用電波から得られる微小電力を集約し大きな電力へ変換するため,受電素子をアレー結合し,その効果を解析により明らかにした([1]IEEE AP-S 2022採録決定). (2) 波源から離れたところで電力を受電するため,八木宇田アンテナの原理を応用し,導波素子をアレー配置することが有効であることを,ネットワークアナライザを用いたSパラ測定により明らかにした([2]電子情報通信学会総合大会2022). (3) 通常の八木宇田アンテナには,素子を導波器として動作させるための素子間隔と素子形状に大きな制約がある.本研究では,整流ダイオードを折り曲げて,誘電体埋め込み折り曲げダイポールを任意形状の素子として設計し,本素子が,八木宇田アンテナの場合と同様に導波素子設置による,受電距離拡張効果があることを電子レンジを波源とするLEDの点灯実験によって明らかにした.([3]IEEE CAMA 2021).(4)八木宇田アンテナは,反射器と導波器は通常直線上に配置されており,任意の位置に配置することは困難となる.本研究では,給電素子の背面に反射素子の代わりにメタサーフェスをおいて電波の放射方向を変化させることによりエネルギーの伝搬する方向を変化できることを明らかにした([4]IEEE APWC2021) (5)セル形状を6角形としたメタサーフェスを設計し,インターディジタル構造とマルチビア構造を用いたメタサーフェス反射器について,28GHz帯で設計したものを電子情報通信学会2021ソサイエティ大会で,シミュレーションに基づく設計と評価実験をマイクロ波研究会でそれぞれ発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度の計画は、次の2点であった.(A)IoT端末の電波の放射方向を制御する手法を、多角形セル応用メタサーフェスにより確立する.ビームスイッチの方向を従来の2種類から6種類以上まで拡張する.(B)八木宇田構造応用によって得た導波素子応用エネルギーハーベストをマルチセクタ配置することにより、エネルギーを伝搬させる範囲を面的に広げられることを明らかにする.これに対して,(A)IoT端末の電波の放射方向を制御する手法を、メタサーフェスにより確立し,査読付き国際会議IEEE APWC2021で発表した.多角形セル応用メタサーフェスとして,インターディジタル構造について検討し,2件学会発表を行った.現在論文執筆中である,ビームスイッチの方向を拡張する手法についてシミュレーションを実施し,特許執筆中である.(B)八木宇田構造応用によって得た導波素子応用エネルギーハーベストをマルチセクタ配置することにより、エネルギーを伝搬させる範囲を面的に広げられることを明らかにし,学会発表を実施した.現在論文執筆中である.さらに,素子の形状を,ダイポールアンテナから誘電体埋め込み折り曲げダイポールとした場合についても,導波素子設置によるワイヤレス電力伝送距離拡張効果があることを示した.これまでの研究で実施してきた,シミュレーションと電子レンジを用いたLED点灯実験に加えて,ネットワークアナライザを用いた測定によっても,導波素子設置によりワイヤレス電力伝送効率を高くできることを明らかにした.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は(A)多角形セル応用メタサーフェスについて,インターディジタル構造に対する結果の論文投稿,多角形セル応用ビーム制御方法について解析設計,特許出願,学会発表を実施する.(B)八木宇田投稿応用については,論文執筆するとともに,半波長ダイポール以外の素子形状に対する導波素子応用について,さらに検討を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響により,学会発表が全てオンラインとなったため,旅費を使用しなかったことが次年度使用額が生じた理由である.当該予算は2022年度,学会発表のための登録費用,旅費,装置試作費用に使用する予定である
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