研究課題/領域番号 |
21K04053
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
北折 潤 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 電子航法研究所, 上席研究員 (20392780)
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研究分担者 |
塩見 格一 福井医療大学, 保健医療学部, 教授 (60392768)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 円形アレーアンテナ / 方向探知 / 角度分解能 |
研究実績の概要 |
本年度は、モードA/C応答方探システムの中心機能を検証するためにアンテナ素子配置実験装置を製作した。ハードウェア設計は昨年度の成果によった。アンテナ素子は円周に6素子、中心に1素子の合計7素子からなる円形アレーで構成されている。円形アレーの半径は、モードA/C応答信号の周波数1090MHzから求まる波長の半分である137.5mmとした。円形アレーの1素子毎に汎用ソフトウェア無線機器(USRP)1台を接続し、7台のUSRPが1台のPCとイーサネット経由で個別に対向通信できるようPCにギガビットネットワークインターフェースを増設した。これにより通信速度の低下を防ぐとともにUSRPにおける10Mサンプル/sのサンプリングレートを確保した。ソフトウェア実装ではPython及びGNU Radio等のライブラリを利用し各USRPでの同時サンプリングを実現した。またキー押下のタイミングに合わせて一定長のサンプリング信号を記録するアプリケーションを製作した。 製作した実験装置とアプリケーションを使って、方向探知機能の動作検証を行った。電波無響室において送信周波数1090MHzの連続波信号を送信電波に用いた実験の結果、MUSIC法にて信号到来方向に対して概ね±3度以内の誤差で角度検出できることを確認した。なお本来の信号到来方向以外の偽像となるMUSICスペクトラムピークが発生する等一部の結果では大きな角度誤差が見られた。アレー各素子間のインピーダンス行列を測定し素子間相互結合の影響を校正したが、偽像を十分に除去できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
電波無響室における実験では、概ね±3度以内の誤差で信号到来方向を検出できた。しかしながら、一部の結果においてMUSICスペクトラムに本来の信号到来方向とは異なるピークすなわち偽像が発生する事例が認められた。現在対応策等を調査中であり、進捗に若干の遅れが見られる。
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今後の研究の推進方策 |
まず、アレー素子の加工や信号処理アルゴリズムの改造を行い電波無響室実験での偽像発生を抑える対応から進めていく予定である。 その後は、実際のモードA/C応答信号を模したパルス状信号に対応する処理の実装を経て、最終的には実際の応答信号を受信して航空機位置を推定できるところまで検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度もCOVID-19の影響は残り、研究分担者との打合せや実験での往来ができず、旅費等の残額が発生した。機材調達についても半導体不足による遅延が目立ったこと、またアンテナ素子自体の故障や職場共用のネットワークアナライザ等測定機材の不調・修理に時間がかかり、当初想定した使用計画の通りとはならなかった。次年度は実験装置等の調整や実験を何度か執り行う計画であり、次年度使用額及び次年度請求額はこれらに使用する予定である。
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