研究課題/領域番号 |
21K04063
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
岡村 康弘 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 助教 (90706996)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 2次光非線形導波路 / 数値シミュレータ / 時間反転波発生 / 位相共役光発生 |
研究実績の概要 |
(1-1)2次光非線形導波路シミュレータの作成:本項目の目的は,時間反転波発生する光中継器を構成するコアデバイスである2次光非線形導波路のパルス応答(光信号)を計算することである.スプリットステップフーリエ法に基づく方法(石月, 電子情報通信学会論文誌C, Vol. J84-C, No. 6, 2001)を参考にプログラムを作成を行った. 作成したプログラムによって2次光非線形導波路を伝搬する光信号(パルス)の時間波形の応答が計算できることを確認した.
(1-2)2倍波光発生実験によるシミュレータ検証:作成したシミュレータの動作検証のため,実験的に短パルス光を光出力光アンプにより増幅し,それを2次光非線形導波路である周期分極反転ニオブ酸リチウム(PPLN)導波路に入射して得られた2倍波光発生特性の実測値と比較を行うことを目的としている.本実験を実施するにあたりPPLN導波路を購入する必要があるが,2021年度は仕様の策定を行った.販売メーカーと打合せを行い,PPLN導波路の位相整合波長,最大入射光電力,変換効率等を決定した.
(2-1)時間反転波の多中継光伝送の基礎検討:令和5,6年度では時間反転波の波長多重多中継光伝送について検討予定であるが,それに先行して,基礎検討として時間反転波の波長分散劣化耐性を数値シミュレーションによって調査した.本成果は” Dispersion compensation of wavelength-division multiplexed signals using waveband shift-free optical phase conjugators”として論文化し,IEICE ComEX(DOI: 10.1587/comex.2021XBL0180)に掲載された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に進捗している.本研究にてコアとなる2次光非線形導波路シミュレータを作成し,その光信号の応答を確認ができた.実施予定であった「2倍波光発生実験によるシミュレータ検証」はPPLN導波路メーカーとの仕様策定が難航したためR4年度に持ち越すことになった.しかし実験そのものは非常にシンプルなものであり短期間で実施可能なため,全体の進捗に及ぼす影響はほぼ無いものと考えている.また,R5,6年度に実施予定である時間反転波伝送シミュレーションについて,基礎的な検討を一部先行して実施しているため,全体として本研究はおおむね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
予定通り「2次光非線形導波路を用いた全中継器の設計」について取り組む.前年度に作成したシミュレータを用いて光周波数シフトのない時間反転波発生器(光中継器)を構成する光デバイス(光カプラの分岐比,分散性素子の位相定数差,2次光非線形導波路の端面反射など)の要求条件を明確化する.検討する時間反転波発生器の構成は申請者が提案しているものとする. 途中, PPLN導波路が納入された段階で前年度に行う予定であったシミュレータの検証を行い,必要に応じてシミュレータのパラメータを更新して「2次光非線形導波路を用いた全中継器の設計」に取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は2つある. 1つ目はメーカーとの2次光非線形導波路(PPLN導波路)の仕様策定に時間を要したため,R3年度中にPPLN導波路の購入に至らなかったからである.当該予算についてはR4年度中にPPLN導波路を発注し使用する予定である. 2つ目は低ノイズ光増幅器が3月に納品となり,支払が完了していないためである.この支払は4月に完了する予定である.
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