本研究では、各電力ルータや電源、および、負荷に、状態計測のためのセンサを設置し、センサネットワークにより時々刻々変動する電源負荷の状態に適応して電力を全体に分散もしくは集中させる電力パケット生成および伝送方法の検討を行った。 電力パケット伝送システムでは、単独の負荷電源間のON/OFFのみならず複数電源複数負荷間において同時に給電電力量を細かく調整できる。さらに伝送する電力に情報が物理的に直接タグ付けされていることにより、電力情報をタイムラグなく伝送することが可能である。このシステムでは電力のストア&フォワードが行われるため、電力ルータに内包された蓄電要素に一時的に電力をためることにより、電力を時間的および空間的に切り分けて使用することを可能とする。本研究では、このような電力パケット伝送システムの特徴を利用し、接続された複数電源や、各電力ルータの蓄電要素に分散的に貯められていた電力を、平時にはパケット単位できめ細かい省エネルギー重視の運用を行う一方、一部負荷やエリアが、単一電源では賄えないような大電力が必要となった際に自動的に複数電源を協調させ即座に優先・集中的に供給するシステムの検討を行った。これを実現するためのアルゴリズムのデザインを進め、その実現可能性の検証を進めるとともに、さらに双方向に電力をマネージメントするために適した回路構造の検討、および、交流電力ルータへ応用する発展的な研究も行った。また、本研究で用いた電力パケットのパルス密度変調による負荷制御の技術を先進的インバータに用いることによるモータ制御についても検討を行い、その有用性について数値的実験的に検証を行った。
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