研究課題/領域番号 |
21K04079
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
近藤 克哉 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (00295750)
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研究分担者 |
小野 康之 鳥取大学, 医学部附属病院, 主任診療放射線技師 (90839599)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 線量分布 / 解像度 / サンプリング / コンピュータ断層撮影 |
研究実績の概要 |
R3年度は線量分布の立体再構成と高解像度化について,CT撮像原理と事例ベース超解像理論の考え方に基づき,コーンビームCTデータに対し角度のサンプリング数を変化させ,サンプリング数の小さい劣化画像から回復した線量分布画像を評価した.撮像時の角度サンプリング数を小さくすることで低被曝撮影に寄与するが,線量分布画像の質は高周波成分の再現が弱くぼけ,ざらつきなどで劣化する.装置固有の辞書データ作成を考慮し数多くの辞書データがないことを想定し,辞書としての高解像度と低解像度の組み合わせ(事例ベース)から,その劣化画像を回復させ,強度値が大きく変化する境界部分での回復に改善余地はあるものの,低線量下で取得した画質が改善する結果を得た.また辞書データ拡充が画質改善に寄与することなど,事例ベース超解像手法の特徴を呈した.R3年度はクルミを撮像した公開データセットなどを利用してTotal Variation正則化の画像再構成結果を用いた. がん領域の位置特定には必ずしも全角度で鮮明な分布が得られている必要はなく,がん領域の形状を再現できるのにキーとなる角度で鮮明な分布が得られればよく,また角度サンプリングに応じ劣化の程度は変化し処理後の画質改善に影響が出ることから,R4年度は実用上での画質評価も加味して適正サンプリング数の導出を計画している. またR3年度は全周のデータ収集として上記結果を得た.R4年度は全周でなく部分収集とした場合の処理も行う.部分収集では全周に比べ撮影時間を短縮できるため,撮影時に呼吸性移動を伴う場合の画質劣化を防ぐことができ画質改善への効果が期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
呼吸性移動のない場合について実施し,データ収集時の角度サンプリングレートを抑えた際の線量分布の画像の質が改善され,想定した結果が得られている.撮影時間の短縮のもとで,実用上支障のない線量分布の推定が期待でき,被ばく線量低減可能なセンシングに向け進捗している.
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今後の研究の推進方策 |
コーン形状の少ないプロジェクションデータから再構成を行い,画質・被ばく線量・撮影時間の比較を行い,手法の有用性を評価する.撮影時の呼吸性移動を伴う場合の画質改善のため,とくに収集区間を限定したときの画質を評価する.また,がん領域の形状を再現するためのキーとなる角度で鮮明な分布を得るという意味での実用上の画質評価も加味した適正サンプリング数の導出,さらに画質改善に寄与する辞書データの拡充を計画している.
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次年度使用額が生じた理由 |
分担者は病院勤務のため,新型コロナの状況のもとでの打ち合わせを含む往来,それ以外の学会旅費の執行を取りやめたため.R4年度において線量計の購入を計画しているが,半導体不足の影響と,輸入品であり円安の為替影響を受け当初の見積額より高いことが心配され,その増額分への充当を計画している.
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