空中に比べ高周波で減衰の大きい地中を伝搬する電磁波を用いる地中レーダでは、用いる周波数領域(周波数窓)の制限から、広帯域性能の指標は-3dB周波数幅(BW=fH-fL)よりH/L比(fH/fL)がより重要である。 本研究は、不発弾除去のため十分な性能のレーダ技術の開発が望まれているなかで、様々な状態で埋設される不発弾に対応するために、広帯域なレーダ・アンテナに対しポラリメトリック手法を適用させることで、圧倒的な不発弾検知性能を実現する地中レーダ技術を開発することを目的としている。 2022年度には、新規導入のワークステーションに電磁界シミュレーション環境を構築し、広帯域アンテナ・ユニットのさらなる広帯域(高H/L比)化を図り始めた。予備調査において五角形ボウタイ型広帯域アンテナに比べ、新七角形ボウタイ型広帯域アンテナがより広帯域(高H/L比)となる可能性が示された。 最終の2023年度には、2022年度で可能性の示された七角形ボウタイ型広帯域アンテナの最適形状をシミュレーションにより決めること、さらにそれに基づいた七角形ベース曲線形ボウタイ型広帯域アンテナがより広帯域(高H/L比)となることをシミュレーションにより実証することに主眼を置き、ほぼ形状を追い込むことが出来た。 さらに実環境にて検証するための地中レーダシステムを組上げ始めた。現在最適化中のボウタイ型広帯域アンテナを組み込むための、電波吸収体を充填したキャビティバック型シールドボックスを組上げ、仮の五角形ボウタイ型広帯域アンテナを据え付けて送受信アンテナモジュールも評価中である。七角形ボウタイ型広帯域アンテナの最適形状をシミュレーションにより決めること、さらにそれに基づいた七角形ベース曲線形ボウタイ型広帯域アンテナがより広帯域(高H/L比)となるよう形状を追い込むことが出来た成果を学会で発表することが出来た。
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