研究課題/領域番号 |
21K04095
|
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
横田 正幸 島根大学, 学術研究院理工学系, 教授 (80323335)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | FMCW / DH / 絶対変位計測 / 多波長化 / UV接着剤の硬化特性 |
研究実績の概要 |
FMCW-DH法を用いた二波長法による絶対変位計測について,形状の精度が保証されたブロックケージを3枚用いた段差状の物体を作成し,これの形状計測を行った。また,同時に計測結果に重畳した周期上の歪に関する補正や形状誤差を見積もるため,1次元の数値計算を行った.その結果,周期上の歪は光学系内にある素子からの反射光により生じた寄生干渉であり,干渉における光路長差が物体光と参照光による光路長差と近い場合にビート周波数が重なるために生じるものであることが分かった.よって,これを軽減するための方法を考案し ,測定結果を補正することができた.これらのことを国際会議にて報告し,学術雑誌にまとめており投稿する予定である.また,今後,数値計算を高度化し,形状の歪の軽減や,光源の周波数変調帯域幅の影響,変調の非線形性の影響,寄生干渉の影響,強度変調の影響などを考慮する予定である.また,更に光源の波長を追加して,多波長化を進めた実験系を作成し,これによる絶対変位計測への応用を行う予定である.また,GPUを用いた高速解析化も検討し,最終的なシステム化を図る予定である.UV硬化型接着剤に関しては,その硬化特性を評価する手法を考案し,硬化時の収縮特性を評価することができた.この成果を国際会議に発表する予定である.硬化特性の評価ができれば,これより先に構築したFMCW-DH法による絶対変位計測システムのデータ解析速度を見積もり,最終的な無変位接着システム化の構築へ向けた取り組みを開始する予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
FMCW-DHシステムに関しては,実験系の構築及び数値計算による検討は概ね予定通りに進捗している.また,UV硬化接着剤の硬化特性の評価に関してもおおむね順調であるが,全体的に実験装置の入手遅れやコロナ禍による実験時間確保の遅れなどが影響を与えており,GPUによる高速計算手法の部分に大きな遅れが出ている.ハードウェア系はコロナ禍の遅れを取り戻すべく研究を進めているが,GPUによる計算部分に遅れがあるため,全体的にはやや遅れていると評価した.今後,GPUによるソフト開発を後回しにして,実験による検討を中心に後れを取り戻すべく検討を進める予定である.
|
今後の研究の推進方策 |
FMCW-DHに関しては多波長化を進めて測定帯域の拡張と絶対変位計測の実施を進める予定.また,UV硬化接着剤に関しては,UV光源に対する応答特性の評価を進め,UV光源の照明に対して接着剤のステップ応答の測定を行う.これらを組み合わせて,FMCW-DH法による絶対変位計測システムの構築を図る.GPUに関してはかなり遅れているため,これは後回しにしてハードウェア部の構築を中心に検討する予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による実験装置の購入遅れなどが影響している.
|