• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

点波源拘束偏微分方程式にもとづく直交異方性材料の欠陥検出に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K04096
研究機関佐賀大学

研究代表者

寺本 顕武  佐賀大学, 理工学部, 教授 (70207489)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード非破壊検査 / CFRP / ガイド波 / 超音波探傷
研究実績の概要

CFRP複合材は、その構造から超音波試験に対して本質的な困難さを伴っている。困難さの一つが高い減衰率である。複合材を構成する基材(樹脂)による粘性減衰、樹脂/繊維界面における散乱が原因と考えられている。もう一つは、音速(位相速度)の異方性である。すなわち、線維と平行な向きには速度が速いが、そうでない向きには遅いという性質である。そのため、伝搬速度 が方向によって異なるため、伝搬時間に基づく手法では傷の正確な位置がもとまらないという問題が起こっている。本研究では、高い減衰率による問題に対しては、中心周波数が30 kHz程度の低いガイド波を用いて回避している。同時に、低周波数による低分解能に対して、点波源拘束偏微分方程式に基づいた撮像手法を導入することによって超解像を実現し、問題を回避している。つぎに、異方性の問題に対して、波動場をLp空間で表現し、擬似的なグリーン関数を用いてその空間での点波源拘束偏微分方程式を考えCFRP板材中の欠損のシルエット撮像を実現している。まず準備として等方性弾性体薄板を伝搬するA0モードラム波動場におけるグリーン関数と点波源拘束偏微分方程式とを導出し、板材の法線方向の面外変位とその互いに直交する面外せん断歪みの自己相関および相互相関から欠損を検出する仕組みを明らかにしている。つぎに等方性弾性体薄板を伝搬するA0モードラム波動場におけるグリーン関数の距離の項をLp空間における距離に置き換えたものを擬似的なグリーン関数とおき、それを用いて板材の法線方向の面外変位とその互いに直交する面外せん断歪みの自己相関および相互相関から欠損検出が可能か試みた。炭素繊維強化樹脂の薄板に人工的な欠損を施し、板材の法線方向の面外変位とその互いに直交する面外せん断歪みの互いの自己相関および相互相関から欠損のシルエットの再構成に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(目的1) 欠損および剥離を含む直交異方性薄板材表面の弾性波動場をLp 距離空間で表現し, 点波源拘束偏微分方程式を導出を実現した.
(目的3) さらに, 面外方向の変位と互いに直交する一対の面外せん断歪みを同時に計測する, 多点微分干渉証明光学系を開発し, 点波源拘束偏微分方程式にもとづく非破壊検査手法を実際の欠損に適用し欠損のシルエットの再構成に成功した.
(目的2) 現在 FDTD数値モデルを作成し, CFRP を模擬し, 人工的に作成した欠損に対して点波源拘束偏微分方程式にもとづく欠損検出手法を適用し, その妥当性を評価している途中である.
3つの目的のうち2つはすでに達成しており おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

(目的2)の実現のため, FDTD数値モデルを作成し, CFRP を模擬し, 人工的に作成した欠損に対して点波源拘束偏微分方程式にもとづく欠損検出手法を適用し, その妥当性を明らかにし, 学会等で発表することを予定している

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2022 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Lp距離空間におけるA0モードラム波伝搬と欠損のイメージング2022

    • 著者名/発表者名
      寺本 顕武
    • 雑誌名

      超音波テクノ

      巻: 7-8 ページ: 1-6

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Near-field Acoustic Tomography with using the Point Source Constrained Partial Differential Equation2022

    • 著者名/発表者名
      Kenbu TERAMOTO, Tajim Md Niamat Ullah Akhund, Haruka Ishibashi
    • 雑誌名

      Proceedings of SICE 2022

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 点波源拘束偏微分方程式にもとづく音響近接場超音波断層撮影2022

    • 著者名/発表者名
      寺本 顕武, 石橋 春香
    • 雑誌名

      第39回センシングフォーラム予稿集

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Imaging of sub-surface defect in CFRP laminate using A0-mode Lamb wave: Analytical, numerical and experimental studies2022

    • 著者名/発表者名
      M.S. Rabbi , Kenbu TERAMOTO , Haruka ISHIBASHI, M.M.Roshd
    • 雑誌名

      Ultrasonics

      巻: 127 ページ: -

    • DOI

      10.1016/j.ultras.2022.106849

    • 査読あり
  • [学会発表] Near-field Acoustic Tomography with using the Point Source Constrained Partial Differential Equation2022

    • 著者名/発表者名
      Kenbu TERAMOTO
    • 学会等名
      SICE2022
    • 国際学会
  • [学会発表] 点波源拘束偏微分方程式にもとづく音響近接場超音波断層撮影2022

    • 著者名/発表者名
      寺本 顕武
    • 学会等名
      第39回センシングフォーラム予稿集
    • 国際学会
  • [備考] Terremoto Lab. RESEARCH

    • URL

      https://sites.google.com/terremotolab.net/terremotolab/home

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi