研究課題/領域番号 |
21K04102
|
研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
中村 僚兵 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 准教授 (70735969)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | ドローン検知 / ミリ波レーダ / MIMO / イメージング / ISAR / マイクロドップラ |
研究実績の概要 |
これまでの研究により,ドローンの距離およびドップラスペクトル上で識別に有効な特徴が検知できることを確認している.今年度はドローンが飛行移動する状態での実験を行い,これまで確認したような特徴が得られるかについて検討した.また,引き続きイメージングの検討も行い,レーダ画像からペイロードを推定する方法の基礎検討も行った.関連する研究成果として学術論文1件,国際会議論文1件,国内学会発表3件の成果をあげた.具体的な検討内容を以下に示す. 1.飛行移動中の反射特性:FCM方式を用いればドローンの距離スペクトル上の特徴的な反射と同時にプロペラの回転によるマイクロドップラが検知できることを確認済みであったが,移動を伴わないホバリング中における解析であった.今年度はドローンが飛行移動する状態での反射特性を検討した.ここでは,当該マイクロドップラを推定するために,移動に伴ってプロペラの位置を逐次推定することを考えた上でドップラ解析を実施した.その結果,プロペラの位置をうまく追従できれば上述した特徴を検知できることを明らかにした. 2.レーダ画像からペイロードの推定:飛行中のドローンのプロペラ回転周波数はペイロードに応じて通常よりも高くなる.そこで,ミリ波MIMOレーダにより得られるレーダ画像から,プロペラの回転周波数を推定する方法を考案した.ペイロード重量に応じて飛行に必要なプロペラ回転周波数を事前に調査し,考案した方法による推定結果と比較することで,ペイロード重量を推定できることを明らかにした. 3.ISARによるイメージング:MIMOレーダ単体のイメージングのみでは角度分解能に限界があり,遠方になるにつれて画像が劣化する.そこで,逆合成開口(ISAR)によるドローンのイメージングを検討した.その結果,ドローンの明瞭なレーダ画像を得ることが期待できることを確認した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画で予定していた検討項目に着手できていることから順調に進展していると判断した.
|
今後の研究の推進方策 |
プロペラの回転によるマイクロドップラについて,飛行移動中でもプロペラの位置をうまく追従できればマイクロドップラを検知できることを明らかにしたが,プロペラの位置を機械的に推定するところには至ってない.そこで,今年度は,ドローンの飛行移動に伴って変化するプロペラの位置を動的に追従し,安定したマイクロドップラ検知を行う方法を検討する.次に,ISARにより得られるドローンのレーダ画像に対して深層学習アルゴリズムに適用することで機種の識別を行う方法について検討する.深層学習アルゴリズムについてはR3~R4年度に検討した畳み込みニューラルネットワーク(CNN)等を適用することを予定している.更に,FCM方式のミリ波MIMO レーダシステムを試作し,リアルタイム検知及び識別を行う.具体的にはドローンの位置(座標)とその機種を画面上に追跡表示するシステムの構築を目指す.
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は研究発表における参加費用や出張費用,また予定していた物品の購入を一部,学内研究費にて処置したためである. 今後の推進方策に記載した内容に従い,研究を実施するが,当該研究結果を国内会議と国際会議および学術論文で報告するために,研究費を使用する予定である.さらに実験を実施する際に必要な物品の購入にも充当する予定である.
|