研究計画の1.及び2.共振掃引型周波数応答計測系のソフトウェア及びハードウェア開発について:昨年度の実績報告書に記載の通り、熱音響システム・シミュレータの目的は当初曖昧だった計画の2通り([目的i]指定の発振周波数におけるコアの挙動を再現する;[目的ii]発振周波数も含めて再現する)のうち目的iiであることが明らかとなったため、今年度は主に3-2.熱音響システム・シミュレータ(模擬管路部の開発)について検討した。ただし目的i即ちコア部の振幅依存性を含む周波数応答計測に関する技術開発についても管路部モデルと組み合わせて発振状況を予測する需要は実用上存在するため別途検討を進めた。具体的には以下の通りである。 3-2.模擬管路部の開発:定在波型熱音響システムの模擬管路部(1入出力系)をロバスト制御(H∞制御)系設計に基づいて構成する手法を拡張し、進行波型熱音響システムの模擬管路部(2入出力系)の設計手法を構築した。2-1.音響計測系の改善:電力フィードバック管路内部の粒子速度計測に関して、レーザー変位計による振動板の速度計測に基づき気柱端面の速度計測系を構成した。2-2.熱音響コアの改善:冷却水の温度制御精度向上のため新規購入した低温恒温水循環装置を導入した。同一金属の複数箇所の温度計測が可能な温度計を導入しスタック端面に熱電対を追加し温度計測系の精度を向上させた。3-1.周波数応答関数行列計測手法の開発:コアの片側を能動的に進行波音場としかつ圧力振幅を目標値とする自動制御系を開発し、実験的に妥当性を示した。本研究課題の基幹技術である定常発振制御について、正弦波の内部モデルに基づく従来手法に対して位相反転しても制御が可能である等の利点を実証した。共振状態を維持する関連技術について、極値探索制御系の安定性解析に関する研究を進め、制御系のパラメータに関する定量的な安定条件を示した。
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