研究課題/領域番号 |
21K04109
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
上田 哲史 徳島大学, 情報センター, 教授 (00243733)
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研究分担者 |
美井野 優 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 講師 (70845049)
伊藤 大輔 岐阜大学, 工学部, 助教 (90759250)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ホモクリニック軌道 / 平衡点 / サドル / 2関節マニピュレータ / 2重振り子 / 第2種周期解 / 大域的分岐 |
研究実績の概要 |
本年度は以下の解析ツールの開発,ならびに基本的にホモクリニック軌道の探索・計算を行った. ・2次元マニピュレータのPythonシミュレータを開発した.二次元平面上の各関節の軌道・動作を視覚化し,同時に2関節に関する角度・角速度の二次元位相平面図を,軌道と同期させて描画する.リアルタイムにパラメータを変更でき,様々な初期値からの運動が反復して確認できる. ・運動方程式に一定トルクを加えた場合の,平衡点ならびにその安定性を求めるツールを開発した. 平衡点の個数,それらの安定性をもとめ,さらにサドル型である場合は固有ベクトルについても求めることができる.三角関数など非線形関数が複雑に絡む微分方程式について,微分計算にかかる人的ミスを排除するため,変分方程式系をシンボリックな導関数としてSympyで求めた. ・上記シミュレータを適当に動作させ,第二種周期解が発生する付近の初期値を試行錯誤で求めた. ・ホモクリニック軌道を記述する連立方程式を定式化した.ニュートン法で求めるためにそれら条件式の導関数を,上記と同様,Sympyを用いてシンボリックにヤコビ行列を算出し,変分方程式を求積した.第2関節の摩擦が無限大である条件下において,ホモクリニック軌道を求めることができた.当該プログラム内では,平衡点位置および第二種周期解の固定点問題も同時に高精度で解くことができている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Kahemanらによる, Saddle transport and chaos in the double pendulum, Nonlinear Dynamics, 2023 によれば,当初想定していなかった,Silnikov 型のホモクリニック軌道(二次元安定多様体を持つサドルに出入りする軌道)の存在が示唆されており,計算アルゴリズムを再考する必要が迫られている. 一方で,当初非常に多くレパートリーがあると思われていた,ホモクリニック軌道の種類は,与えられたトルクと摩擦の関数ではあるものの,かなり少数の有限個に限定される可能性があり,解析の範囲が絞られてきたとも言える. 上記を加味して最終年で包括的にホモクリニック軌道計算の完成・ならびに解析を終える.
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今後の研究の推進方策 |
・二次元マニピュレータに関しては,Shilnikov 軌道の計算アルゴリズムの完成,ならびにホモクリニック分岐の計算を進める. ・二次元マニピュレータの関節に周期摂動を加えた場合の,周期解の分岐現象解析に取り組む. ・一次元マニピュレータのホモクリニック軌道に関して,馬蹄型写像の構成を行い,不安定周期軌道の計算を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により,2022年度予定の国際会議や国内集会の抑制が働き,繰越が発生した.翌年度は最終年度になるが,国外開催の国際会議等が予定されており,適切に支出出来ると思われる.
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