研究課題/領域番号 |
21K04110
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
松田 吉隆 佐賀大学, 海洋エネルギー研究センター, 准教授 (00578429)
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研究分担者 |
後藤 聡 佐賀大学, 理工学部, 教授 (20225650)
杉 剛直 佐賀大学, 理工学部, 教授 (00274580)
安永 健 佐賀大学, 海洋エネルギー研究センター, 助教 (50758076)
池上 康之 佐賀大学, 海洋エネルギー研究センター, 教授 (80232172)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 海洋温度差発電 / 海水淡水化 / ハイブリッドシステム / 動特性 / 制御システム |
研究実績の概要 |
近年再生可能エネルギーの有効利用促進が求められているが,その有効なエネルギー源のひとつに海洋温度差発電(OTEC)がある.一方,海水を化石燃料を用いずに蒸発させて淡水化するスプレーフラッシュ蒸発式海水淡水化システムがある.本研究ではそれらを組み合わせて構成される,発電と造水を同時かつ環境にやさしく実現するハイブリッドシステムについて,その動特性を解明しつつ,その制御問題に挑戦する.令和3年度は,ハイブリッドシステムの熱交換器における動特性を一次遅れ系として表現する動的モデルを新たに構築した.そのモデルの有効性を数値シミュレーションにより検証した.また,最も基本的なOTECプラントのサイクルであるランキンサイクルを用いたOTECプラントの,作動流体流量を入力として持つ状態空間モデルの構築についても検討した.さらに,高効率化を目指して研究が進められている2段ランキンサイクルを用いたOTECプラントの状態空間モデルの構築について,冷海水流量,温冷海水流量を入力として持つ状態空間モデルをそれぞれ構築した.一方,ウエハラサイクルを用いたOTECプラントの気液分離器液位制御のための状態推定に疑似観測量を導入する手法についても検討した.関連する研究として,OTECプラントおよびそれと複合的な使用を目指しているスプレーフラッシュ蒸発式海水淡水化プラントは,その発電原理から海洋上や僻地が設置場所として考えられることから,その遠隔監視・操作を実現するための研究として,久米島に設置された海水淡水化プラントの遠隔監視システム,および水位制御モデルを用いた遠隔操作システムの開発にも取り組んだ.以上の研究成果を,学会発表7件(国際学会3件)によって発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度は,海洋温度差発電とスプレーフラッシュ蒸発式海水淡水化のハイブリッドシステムの熱交換器における動特性を表現したモデルを構築できたことから,おおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度の研究によって,海洋温度差発電とスプレーフラッシュ蒸発式海水淡水化のハイブリッドシステムの熱交換器における動特性を表現したモデルを構築できたことから,今後はハイブリッドシステム全体を制御するために必要となる,蒸発器以外の部分のモデル化について取り組む.それが完了次第,ハイブリッドシステムのための制御システムの設計手法の検討に着手する.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度における新型コロナウイルス感染症防止に伴って学会活動の減少や実験に必要となる物品の購入にかかる費用が少なくなった結果として次年度使用が生じた.したがって次年度使用分は次年度に学会活動や実験に必要な物品等の購入に充てる予定である.
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