研究課題
本研究課題では我々が独自に開発した金属/半導体(M/S)界面の2次元評価法(界面顕微光応答法)をワイドバンドギャップ半導体上に形成した電極の電流輸送機構の解明に適応できることの実証が目的である。従来はショットキーM/S界面の2次元評価を室温で行ってきたが、低障壁で低抵抗なオーミック電極に対して低温での測定が行えるよう装置を改造し、低ノイズで高感度な光電流検出を提案している。R5年度は最終目標である温度可変界面顕微光応答測定を実施した。薄膜Au/Ni電極に対して前面照射の光学系で室温、313K、323Kの3つの温度で赤、緑、青の3波長のレーザを用いて測定を行い、電極表面の汚れが鮮明に観察されるほどの光電流像を得ることができた。障壁高さ像では温度によらず1.10から1.13 eVのほぼ一定の値が算出され、妥当な値が2次元評価でも得られることを実証した。また、これまでの研究成果が評価され、海外1件、国内1件の招待講演の栄誉を得た。研究期間全体を通じた成果としては、(1)オーミック特性に近い非常にリーキーなNi/高ドープp-SiC電極において内部光電子放出測定( PR)および、界面顕微光応答測定が有効であることを示した、(2)温度可変測定系の構築として、100Kまで0.1 nA以下の低リーク電流の達成、プリベークと窒素ガスの吹付によるビューポートの曇りの低減により正確で長時間の運転を可能とした、(3)サンプルの裏面を温度可変ステージにマウントし、光を前面から照射するため、電極の薄層化を検討し、厚さ100 nm以下で測定可能な光電流が得られることを実証した、(4)薄層電極に対して170から370Kの温度領域でPRスペクトルを得ることができたことが挙げられる。これらの要素技術の立ち上げに基づき、上記R5年度の最終目標の達成に至ったので、本研究の目的はお概ね達成したと考えられる。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
physica status solidi (b)
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