近接蒸着法は、大面積拡張性を持つ太陽電池材料BaSi2の成膜法である。本研究は、近接蒸着法によるBaSi2薄膜の結晶成長メカニズムを解明し、得られる指針を元に単結晶BaSi2薄膜を作製し、その物性データを得ることである。まず、原料の機械的活性化により300 ℃の成膜温度の低下に成功した。この技術を用い、成膜温度の結晶ドメイン構造への影響を調べた。その結果、基板温度を高く、膜厚を大きくすることで、ドメインが拡大することが分かった。この知見と傾斜Si(100)を用いることで、初めて単結晶BaSi2薄膜の形成に成功した。物性測定により、キャリア寿命へのドメイン境界の影響は小さいことが分かった。
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