研究課題
水環境において顕在化しているマイクロプラスチックごみは、地球規模で社会問題化している。5mmから300μm程度のいわゆる「マイクロプラスチック(MP)」や更に微細な「スーパーマイクロプラスチック(SMP)」は、100nm以下の「ナノプラスチック」を含めて、その検出は極めて困難である。したがって、環境水中等を遍歴するナノ粒子の動態を正確に評価するためのモニタリング技術の開発が焦眉の急である。本研究では「サイズや有機・無機の多様な組成からなる水環境中のSMPおよびNP等のマイクロ・ナノ粒子をいかに選択的に捕集し、検出するか」という課題に対して、電気工学およびマイクロ・ナノ工学の視点から課題を解決する。最終年度は、階層型ピットアレイの基本形であるピットにおけるSMP/NPの選別・誘電泳動の粒径依存性および周波数依存性を明らかにするとともにピット型誘電泳動デバイスの作製法の確立を行った。具体的には粒径が1μmおよび5μmのポリスチレン粒子をモデル粒子として、数十~100μm直径のPMMA上のマイクロスケールのピット構造におけるこれらの粒子の誘電泳動下での捕集状況を光学顕微鏡観察により調査した。誘電泳動の周波数特性とクラウジウス・モソッティ関数との比較により、数十kHz程度の低周波数領域でのピット内での集積における誘電泳動現象および交流電気浸透の作用を見出した。また誘電泳動デバイスの試作において、階層型PMMAピットアレイ構造のデザインの見直し、陽子線描画による作製工程の改善、およびデバイス作製条件の探索を行い、ITO-PETフィルムを100μm厚の両面テープで張り合わせ、毛細管現象により簡易に動作する透明なマイクロピット型誘電泳動デバイスの作製法を確立した。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件)
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 63 ページ: 03SP49~03SP49
10.35848/1347-4065/ad25ab
Applied Physics Letters
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