研究課題/領域番号 |
21K04144
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
廣芝 伸哉 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (40635190)
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研究分担者 |
熊代 良太郎 東北大学, 材料科学高等研究所, 特任准教授 (00396417)
良知 健 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所, 機械・材料技術部, 主任研究員 (70521037)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | グラフォエピタキシ / 薄膜成長 / GIXD / MDシミュレーション |
研究実績の概要 |
2022年度はまず,真空蒸着装置を使用し,酸化膜付きシリコン(SiO2/Si)基板上にジナフトチエノチオフェン(DNTT)の分子薄膜を原子間力顕微鏡(AFM)観測,out-of-plane x-ray diffractin(XRD)およびIn-plane XRD解析により,各種蒸着条件での表面モルフォロジ,分子の配向,結晶構造を調査した. また,ナノワイヤ成長にとって非常に重要なパラメータである核生成密度に対してこれまで報告されているペンタセンやヘキサチオフェン(6T)などと大きく異なる事も見出した.この結果は,大きく有機薄膜成長の基礎研究に寄与する新しい知見である. SiO2/Si基板上に電子線(EB)描画による500, 250および100nm幅のラインアンドスペース(L&S)パターンを描画し,反応性イオンエッチング(RIE)により凹凸形状L&Sパターンを形成した.このL&Sパターン上にDNTTの分子薄膜を成膜し,表面モルフォロジを観察した結果,期待していた異方的なナノワイヤ成長は観測できなかったが,有機グラフォエピタキシに特徴的な表面モルフォロジ形状がみられた. またSiO2上でのDNTT20分子の分子動力学による計算(MDシミュレーション)を実行し,初期配向や核生成に関する実験事実を,計算によって考察する手法も確立した.とりわけアモルファスSI基板上にDNTT分子を20分子と比較的大規模な計算であっても,整備した計算サーバは簡易なPCではあるが充分に現実的な時間で終了し,知見を得ることに大いに貢献した. これらの結果は,査読論文Physica State Solidi(a)に投稿中であり,ICNME2022,応用物理学会等での報告を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有機半導体の薄膜成膜実験と,ナノ凸凹基板上への実験については,ナノワイヤを形成には至っていないが,ナノワイヤ形成条件の最適化および,薄膜成長初期過程でDNTTには他の有機半導体低分子材料と比べて特異な性質があることを見出した2022年度の計画については,おおむね計画通りの実験を推進した.また,現所属の共通設備が充実しており,当初想定していたよりもスムーズに実験データの収集が可能であった.加えて,MDシミュレーションを組み合わせた計算手法も組み合わせることで分子動力学(MD)シミュレーション(LAMMPS)等を援用したモデル計算については,解析でき新たな知見もいくつか得られたことから,査読論文に結びついた.このように,DNTT系の薄膜成長において,当初予想していたよりも多様なデータが得られ,MD計算環境の構築なども想定以上に進展したため,2年目の進捗としては概ね順調に進展していると言えると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度はデバイス化への道を模索することを計画に盛り込んでいた.しかし,とりわけ重要な基礎的知見が得られたため,むしろ基礎研究を重要視したことから,デバイス化の実験よりも基礎研究に終始した.2023年度は最終年度であるためDNTTのナノワイヤ成長を探索しつつ,有機グラフォエピタキシ膜をデバイス化し,電界効果が他トランジスタ(FET)特性を評価する.その物性を通常の薄膜と比較し,配向,結晶性などと系統的理解を深める.また,n-typeの有機半導体(PTCDI-C8,およびDFH-4T)の成膜条件を探索し,凹凸形状L&Sパターン表面上への成膜と表面モルフォロジの関係を明らかにする予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
繰越金で2021年度,未購入であった制御用PCの購入した.購入予定のPCの価格改定がありスペックを見直したことで差額が生じた.
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