水素吸蔵合金であるVを非磁性層に用いたFe/V磁性多層膜を作成し、その磁気抵抗の水素濃度依存性を調べた。V層1.8 nmのFe/V多層膜では、窒素雰囲気下では磁気抵抗に巨大磁気抵抗効果が見られた。一方で窒素―水素混合ガスの下では、巨大磁気抵抗効果が水素濃度に対して急激に減少し、水素濃度4%程度で消失した。V膜厚を2.4nmに変えると、窒素雰囲気下では巨大磁気抵抗効果は見られないが、水素濃度0.2%程度で巨大磁気抵抗効果が表れた。これらの振る舞いは、V層が水素化した際の電子構造の変化が主に影響していることがわかった。
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