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2022 年度 実施状況報告書

ミストCVDによる量子ドット分散半導体薄膜の単一プロセス形成

研究課題

研究課題/領域番号 21K04154
研究機関静岡大学

研究代表者

原 和彦  静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (80202266)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードナノ粒子分散半導体薄膜 / 酸化亜鉛 / 酸化マグネシウム亜鉛 / ミスト化学気相法 / フォトルミネッセンス / カソードルミネッセンス
研究実績の概要

発光特性の向上と新たな機能付加を目的とした新しいタイプの発光材料構造として、バンドギャップの大きな半導体(バリア層)中にバンドギャップの小さいナノ粒子を分散させたナノ粒子分散半導体薄膜を提案し、ミスト化学気相法をベースとした単一プロセスにより作製することを目的とした研究である。今年度得られた成果を以下にまとめる。
(1)昨年度の研究において課題であった基板面内での膜厚および組成の不均一性を解決するために、新たにファインチャネル型のリアクターを設計・導入した。これを用いることにより、ZnO系、Ga2O3系薄膜共に、膜厚の均一性が大幅に改善させることができた。また、ミストによるナノ粒子輸送についても問題ないことを確認した。
(2)上述の新リアクターを用いたGa2O3薄膜の成長では、基板温度の上昇に従い結晶相がα→β→ε相の順に明確に変化した。Ga2O3系バリア層にZnOナノ粒子を分散させる場合には、バリア層の結晶相としては対称性の類似性からα相が適しているが、この結果から、α相が安定に形成される基板温度を450℃に決定できた。
(3)作製したナノ粒子分散 (Zn,Mg)O薄膜を窒素雰囲気中でアニールし、その効果を調べた。実験を行った範囲においては、高温かつ高いMg原料濃度で成長させた試料において、アニールによるZnOナノ粒子からの発光増大が確認された。これは、薄膜中およびナノ粒子の内部や周囲の欠陥が取り除かれためと考えられ,アニールの有効性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究実績の概要で述べた通り、新リアクターに変更したことにより、均一な膜形成とGa2O3膜における精密な結晶相制御を可能としたが、その一方で、膜中へのナノ粒子の取り込みが大幅に減少してしまった。これは、リアクター内において、膜形成とナノ粒子輸送の観点から最適な位置が異なっているためと予想される。現在、それらを整合させるために、基板配置、ガス流量条件などを調整しているところである。

今後の研究の推進方策

(Zn,Mg)Oおよび(Ga,Al)2O3バリア層へのZnOナノ粒子の取り込み効率を改善させた後、最終年度では、膜中のZnOナノ粒子およびその周囲の微細構造評価から、さらに成膜プロセスの最適化を図る。ここでは、サファイア基板とガラス基板上の試料の違いも膜構造の観点から考察する。さらに、ナノ粒子分散半導体薄膜の応用展開の可能性を探るため、強励起測定、発光寿命測定を含めた多面的な発光特性の評価も実施する。これらを通じて、高機能蛍光体薄膜としてのナノ粒子分散半導体薄膜の有効性を示す。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由: 前年度同様に、学会にオンライン参加したことで旅費の支出がなかったことが主な要因である。
使用計画: 透過電子顕微鏡などの機器使用料、およびより積極的な成果発表に充てる計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] ミストCVD法により作製したナノ粒子分散(Zn,Mg)O薄膜へのアニールの効果2023

    • 著者名/発表者名
      田中京輔、奈良俊宏、矢ヶ崎司、伊藤里樹、光野徹也、小南裕子、原和彦
    • 雑誌名

      電子情報通信学会技術研究報告

      巻: 122 ページ: 13-16

  • [学会発表] ミスト CVD法により作製したナノ粒子分散 (Zn,Mg)O薄膜への アニールの効果2023

    • 著者名/発表者名
      田中京輔、奈良俊宏、矢ヶ崎司、伊藤里樹、光野徹也、小南裕子、原和彦
    • 学会等名
      発光型/非発光型ディスプレイ合同研究会

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公開日: 2023-12-25  

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