研究課題/領域番号 |
21K04160
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
佐藤 伸吾 関西大学, システム理工学部, 准教授 (60709137)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 積層半導体基板 / 低電界移動度 / シート抵抗 / 伝送線路モデル |
研究実績の概要 |
本研究は半導体素子の形成工程を経ることなく、積層構造を有する半導体基板の電気物性・界面品質を、高精度に評価する手法を開発することを目的とする。積層基板向けの電気物性の評価手法であるPseudo-MOS法を拡張し、積層薄膜界面の電気的品質を評価する手法を開発する。具体的には薄膜界面に形成された電荷層を伝導するキャリアの輸送特性、ならびに薄膜界面の電気的品質を評価する手法を確立することを目的とする。 2021年度は既存の直流Pseudo-MOS法を改良し、積層半導体基板の界面品質に由来する低電界移動度ならびにチャネルシート抵抗を高精度に抽出する手法を提案した。本手法の研究を通じて、積層半導体基板表面と金属探針の接触状態が測定結果に与える影響、評価試料の形状や金属探針の配置方法による抽出結果の変動を実験的に明らかにし、高精度に電気物性・界面品質を抽出する見通しを得た。また交流Pseudo-MOS法による電気物性値の抽出のために、積層半導体基板のインピーダンス特性を伝送線路モデルを用いてモデル化した。その結果、既に報告されている交流法では積層半導体基板と金属探針の接触抵抗により、積層半導体基板の界面に形成されるチャネル上の交流信号伝搬を実験的に確認することができないことを理論的に明らかにした。また本モデルを用いて交流信号伝搬を観測するための測定条件を明らかにし、低周波極限におけるインピーダンス測定値とチャネルシート抵抗値の関係を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究はおおむね当初の計画通りに進展している。 積層半導体基板のインピーダンス特性を伝送線路モデルを用いてモデル化したことにより、測定結果で得られるインピーダンス特性ならびにその位相特性を予想可能となった。 現在の測定結果と上記モデルの比較結果から、積層半導体基板の裏面とチャック間の接触抵抗がインピーダンスの測定結果に含まれていることが新たに判明したことから、次年度は積層半導体基板の裏面とチャック間の接触抵抗を考慮に入れた交流信号伝搬モデルの検討を行う。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は積層半導体基板の裏面とチャック間の接触抵抗を考慮に入れた信号伝搬モデルの検討を行うとともに、積層半導体基板のインピーダンス特性の測定結果と構築モデルの定量的な比較を行い、構築した信号伝搬モデルの高精度モデル化を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた出張が感染症の影響によりオンライン開催となったことで当初想定していた支出を下回ったため差異が生じた。翌年度は感染症による移動制限が緩和される見通しであることから翌年度分の助成金と合算し、学会参加費やその出張旅費の費用に充当する予定である。
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