研究課題/領域番号 |
21K04162
|
研究機関 | 奈良工業高等専門学校 |
研究代表者 |
藤田 直幸 奈良工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (90249813)
|
研究分担者 |
遠藤 恭 東北大学, 工学研究科, 准教授 (50335379)
石飛 学 奈良工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (60390481)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | ポーラスアルミナ / パワーインダクター / 高周波電源 / 磁気異方性 |
研究実績の概要 |
実施計画では、1)アスペクト比1000の孔をもつアルミナテンプレートの作製、2)孔へのFe-Bの電析、3)静的磁気特性の測定、4)動的磁気特性の測定、5)孔占有率80%のテンプレート作製に着手するとしていた。 1)については、(a)シュウ酸0.3M水溶液を用いて20±1度でAl板に陽極酸化(40V、3~25時間)を行った後に、(b)溶液をシュウ酸浴からリン酸0.82M水溶液に変更し、陽極酸化(40V,1分間)を行った。リン酸浴に変更したのは、脆弱なアルミナ層を形成し、スルーホール化を容易にするためである。(c)続いてリン酸浴中で、陽極酸化電圧を段階的に下げて、アルミナのバリア層を薄化する電流回復法工程を行った。バリア層を薄化したのち、確実にスルーホール化させるために電圧を印加せずリン酸浴中で20分間放置することでエッチングした。(d)陽極酸化の極性を反転させて電流を50~200mA/cm2まで2分毎に50mA/cm2ずつ段階的に上昇させることで、Al素地とアルミナの間に水素を発生させて、ポーラスアルミナ膜を素地から剥離した。(e)アルミナ膜のAl素地側に電析時の陰極となるCu膜(純度99.9%)を真空蒸着装置で蒸着した。このようにすることで、アスペクト比600が作製でき、1000を作製する条件も明確になった。 2)についてはFe-Bでは、電析浴のpHではアルミナテンプレートが溶解されたので、代わりに同じく軟磁性のFe-Niで電析をしたところ孔への充填に成功した。 3)、4)については、測定を行い、評価することができた。動的磁気特性は透磁率が小さいことが明らかになった。5)についても着手し、60%の孔占有率が達成できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ予定どおりの進捗である。Fe-Bでの電析ができなかったが、Fe-Niに変更して孔を充填することができた。孔占有率80%を目指す研究の着手も早めに行うことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
Fe-Niの磁気特性が細孔に入れると損なわれるので、電析条件の見直しを行う。孔占有率の向上のためには、エッチング条件の精密化が必要であるため、アルミナのエッチグレートの測定などの基礎研究から行う。 高周波磁気特性では、透磁率の値が小さいので、上記の検討を行って新たな作製条件を見出したうえで、測定を行う。測定とテンプレート作製を繰り返し、最適な成膜条件を見出す。 また、コイルの作製についての検討も開始する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響により、学会がオンライン開催されたことや、出張しての測定などに制限が生じたため出張経費の支出が大幅に減ったこと等が主な原因である。
|