研究課題/領域番号 |
21K04170
|
研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
柴田 浩行 北見工業大学, 工学部, 教授 (60393732)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 単一光子検出器 / 二ホウ化マグネシウム / SNSPD / SSPD |
研究実績の概要 |
超伝導ナノストリップを用いた単一光子検出器(SNSPD、SSPD)は、量子暗号通信など様々な先進的技術の発展に不可欠な検出器であるが、動作温度は3K以下と低く、動作温度は100MHz程度に留まる。SNSPDは通常、超伝導材料に窒化ニオブ(NbN)またはタングステンシリサイド(WSi)を用いる。申請者は以前、二ホウ化マグネシウム(MgB2)を用いたSNSPDを初めて実現した。MgB2-SNSPDは11Kで動作可能で、動作速度はNbN-SNSPDより10倍以上高速であるが、検出効率が大幅に低い。本研究ではMgB2-SNSPDの性能向上を目指している。 今年度は、12月まで特性評価用のHe冷凍機が故障していたため、薄膜成長および微細加工を中心に進めた。MgB2極薄膜成長では、MBE成長速度を15nm/minから7.5nm/minに削減することにより再現性を向上した。ナノ微細加工は、通常の電子線描画に加えてHeイオン顕微鏡を用いた微細加工・追加工についても検討しているが、装置が年間を通じてメンテナンス中で試作できなかった。 最近、高品質なミクロン幅の超伝導細線を用いた単一光子検出器(SMSPD)が報告された。MgB2は細線断面積の減少と共にTcが大幅に低下するため、細線断面積の大きなMgB2-SMSPDが実現できれば加工性の向上および高性能化が期待できる。今回、従来型超伝導体を用いたSMSPDを試作して単一光子検出可能であることを確認し、現在、MgB2-SMSPDの作製と追加工による性能向上を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究に不可欠なHe冷凍機が2021年12月に故障し、2022年12月にコンプレッサー交換が完了したため、デバイス評価が遅れている。また、設備供用拠点の高精細集束イオンビーム装置(Heイオン顕微鏡)が、メンテナンス中で1年以上利用できなかったため、ナノ微細加工が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、He冷凍機は順調に稼働しており、また、Heイオン顕微鏡によるナノ微細加工は他所で可能な状況になった。微細加工および測定を早急に進めて遅れを取り戻す。
|