研究課題
本研究では、磁石試料を広い視野で磁区観察する際に課題となる「明るい結晶粒の白飛び」や「暗い結晶粒の黒つぶれ」を抑制するために、「複数カメラによる同期撮影とHDR画像処理による広視野で優れた磁区コントラストの得られる磁気イメージング装置の開発」を行った。この装置を用いて広い観察視野で磁石材料の磁区観察を行い、「その減磁過程と、他の観察手法で得た結晶組織等の関連を明らかにすることで、高耐熱磁石の設計指針(結晶組織・組成等)を導出する」ことを研究目的として、複数カメラの同期撮影とHDR画像処理による磁区観察システムを開発した。開発した装置波、HDR処理に必要な「明るさ(露光時間)の異なる複数の磁区像を動画として得る」ために、得られる磁区像を複数に分岐するダブルポートを組み込んだKerr効果顕微鏡である。バルク磁石材料の減磁過程における磁区構造変化を「数mmの広い視野」で観察するための、最適な実験条件(露光時間の組み合わせや磁界を変化させる速度)を導出した。その結果、磁気Kerr効果顕微鏡による観察視野全体で、Nd-Fe-B系焼結磁石の初磁化過程における磁区構造の変化を鮮明な磁区動画として得ることができた。さらに、このようにして構築した観察システムを用いて、様々な条件で作成したバルク磁石材料の熱減磁過程における磁区構造変化を個々の結晶粒で観察すると共に、広い視野の全結晶粒に対して観察することで、試料全体でどの部分が何%減磁したか等の統計情報についても解析を行うことができた。加えて、磁区を観察した視野を電子顕微鏡で結晶組織を調べることを想定した表面保護膜や観察視野の選定などについても検討を行い、磁区構造と結晶組織の関連を調べる研究の筋道を建てることができた。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
IEEE Transactions on Magnetics
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