研究課題
シリコンプラットフォーム上に化合物半導体レーザを集積化する技術として、申請者が提案したハイブリッド集積の方法である「InP-シリコン基板の作製とその基板上での結晶成長、プロセス」を用いて光通信用送信サブシステム構築を目指した研究である。この方法は、シリコン基板に膜厚1μm程度のInP薄膜を親水性直接貼付けし、このInP-シリコン基板に有機金属気相成長による化合物半導体の結晶成長を行い、デバイスプロセスを行うことによりハイブリッド集積を実現するものである。令和5年度においては、親水性直接貼付けによって発生する気泡・ボイド形状とその上に結晶成長したGaInAsP系多重量子井戸レーザの発振しきい値との関連を詳細に調査した。InP薄膜とSi基板を親水性直接貼付けにおいては、400℃、8時間の熱処理を行うが、その際に発生するボイドが結晶成長後にその形状がどのように変化するかを明らかにした。さらに成長前後のボイド密度、ボイド占有面積、ボイド角度が量子井戸レーザの発振しきい値に対してどのような影響を及ぼすかを調べた。また、InP薄膜の厚さ、および熱処理の温度の組み合わせを検討し、ボイドが低減する条件を見出した。これらの実験により、シリコン基板上量子井戸レーザの発振しきい値がInP基板上量子井戸レーザの発振しきい値と同等となることを示した。これまでの研究によりシリコンプラットフォーム上半導体レーザにおいて、InP基板上半導体レーザと同等の性能を持つ半導体レーザの作製プロセスを確立することができた。
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Physica Status Solidi A
巻: 2300677 ページ: 2300677-1, 6
10.1002/pssa.202300677#
https://pweb.cc.sophia.ac.jp/shimolab/