研究課題/領域番号 |
21K04204
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
小山 政俊 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (30758636)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 酸化ガリウム / 3C-炭化ケイ素 / ミストCVD |
研究実績の概要 |
次世代パワーデバイス材料として近年注目される Ga2O3 の結晶多形のうち orthorhombic 構造を有する κ-Ga2O3 は、その結晶構造により自発分極を有するため、分極電荷を用いたデバイスへの応用が期待される.本研究課題では、κ-Ga2O3を安価で入手が容易なSi基板上に形成し、分極電荷由来の2次元電子ガスを利用した κ-Ga2O3 高電子移動度トランジスタの開発を目指している。 これまで、横型管状電気炉を用いたミストCVD法で (111) Si基板上にMOCVD法で (111) 3C-SiC を成膜したテンプレート基板上に κ-Ga2O3 を成膜することができる条件を見出してきたが、表面平坦性に改善の余地があった。そのため、本研究課題の初年度である2021年度は、2次元電子ガスのキャリア輸送に影響を及ぼさない、平坦な κ-Ga2O3 薄膜の成膜を目標として、新たにファインチャネル(FC)方式のミストCVD法を用いてに Ga2O3 薄膜を成膜条件を検討した。その結果、FC方式のミストCVD法においても、X線回折法による2θ/ωスキャンの結果から,orthorhombic構造を有する κ-Ga2O3 単相の薄膜を成膜できる条件を見出した。これらの条件で成膜された κ-Ga2O3 単相の薄膜は、半導体ヘテロ接合デバイスに応用する観点では、表面平坦性に依然として改善の余地が大きい状況であることから、平坦性の改善は次年度に残された課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、2021年度中にGa2O3薄膜の平坦化技術の確立を終えること、年度の後半から、Ga2O3薄膜に新たにIII属元素を混晶かさせる三元混晶化技術と、Ga2O3薄膜の自発分極の評価を開始する予定であったが、Ga2O3の薄膜の平坦化が依然不十分であることから、三元混晶化技術と、Ga2O3薄膜の自発分極評価については、着手できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度後半に着手予定であった三元混晶化技術と、Ga2O3薄膜の自発分極の評価について、2022年度に速やかに取り組む予定である。前者については、Ga2O3とヘテロ接合を形成するための障壁層、もしくは、キャリア走行層を形成するために、アルミニウムやインジウムをGa2O3に混晶化する予定である。後者については、強誘電体評価システムを用いて、分極電荷の発生の有無を調査予定である。また、Ga2O3薄膜の平坦化技術の確立については、依然改善の余地が大きいため、2022年度も継続して平坦性改善に取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究課題遂行にかかる原材料の消費が想定よりも若干少なかったため、それらの購入時期を次年度に見送ったため。
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