研究課題
研究計画最終年度にあたり,モデリングからシミュレーションのフェーズへと進んだ.計画の総括として,確率過程シミュレーションに基づく材料設計法を提案することを目的とした.設計対象相を気泡と高吸水性ポリマー(SAP)とし,凍結融解抵抗性の改善のために必要な混入量を事前に決定する方法について検討した.その結果,従来の耐久性指数で判断される耐凍害性を保証するためには,以下の手段を採ればよいことが示された.(1)気泡量は点密度で代表できるので,一般的な配合の画像上にてランダムに点発生させてディリクレ分割による気泡が保護すべき領域を割り当てる.このときタイル面積の大きさの分布にて,累積面積率95%に達するタイル面積が従来の従来の推奨気泡間隔係数0.2mm程度になるような点密度を求め,これに対応する空気量を導入すればよい.(2)SAPは気泡と同様の耐凍害性改善機構により凍結融解作用に対する抵抗性を改善すると理解されてきた.しかし,SAPは寸法が大きくて粒子間隔が広いにもかかわらず,耐凍害性を大きく改善できることが明らかになった.よって,SAPコンクリートの配合に点過程モデリングの方法を適用するには,点密度と耐久性指数の関係のデータ蓄積が必要である.そのデータベースが利用できれば,気泡と同様の点密度,タイル面積累積の方法により混入量を決定しうる.また,これまでおおむね順調に研究が進んだことから,この実績を昨今のCO2排出削減の課題に応用することに思い至り,骨材の充填性と表面間距離の評価に点過程とステレオロジーの方法を組み合わせて導入を図った.その結果,コンクリートの微視的構造レベルでの骨材の個数密度と表面間距離は,細骨材の中でもより微細な粒子によりほぼ決定される.この微細粒子のランダム分布により形成される個数が密な凝集域と疎な領域を、点過程にて再現することの重要性が示された.
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Journal of Advanced Concrete Technology
巻: 22 ページ: 128-138
10.3151/jact.22.128
Materials and Structures
巻: 57 ページ: 69
10.1617/s11527-024-02334-w
International RILEM Conference on Synergsing Expertise towards Sustainability and Robustness of Cement-based Materials and Concrete Structures
巻: 1 ページ: 148~158
10.1007/978-3-031-33211-1_14
コンクリート工学年次論文集
巻: 45 ページ: 532-537
巻: 45 ページ: 538-543
巻: 45 ページ: 550-555
セメント・コンクリート論文集
巻: 77 ページ: 240-247
10.14250/cement.77.240