研究課題/領域番号 |
21K04229
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
小室 雅人 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (10270183)
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研究分担者 |
瓦井 智貴 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 助教 (60943868)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 無孔性コンクリート / 鋼繊維 / 偶発作用 / 耐衝撃用途構造物 |
研究実績の概要 |
世界最高圧縮強度を有する無孔性コンクリートに剥落防止とせん断補強効果の高い鋼繊維を組み合わせたPFFRCの耐衝撃構造物への展開・応用を最終目的に,本年度は以下の検討を実施した。 既設RC構造物の耐衝撃性向上効果へのPFFRCの利活用に関する検討として,落石防護擁壁の緩衝構造としての適用性に関する検討を行った。具体的にはPFFRC版と緩衝材として発泡スチロール(EPS)あるいは軽量モルタルを組み合わせた緩衝構造を考案し,その効果に関する基礎的な知見を得るための室内実験を実施した。PFFRC版のサイズは700x700x40mmとし,圧縮強度(3水準:100MPa, 200MPa, 300MPa)ならびに鋼繊維混入率(3水準:1%, 2%, 3%)を変化させた。また,緩衝材のサイズは700x700x200mmとした。実験は鋼製重錘(質量:300kg)を緩衝構造の中央部に落下させて実施した。 その結果,1) PFFRC版の圧縮強度が緩衝効果に及ぼす影響は小さいこと,2) 一方,PFFRC版の鋼繊維混入率を増大させることで緩衝効果は向上すること,3) EPSと軽量モルタルを比較すると,前者の方が剛性が小さく荷重分散効果が発揮されるため,より大きいエネルギー吸収効果が期待できること,などを明らかにした。 さらに,実落石防護擁壁への適用を念頭に,PFFRC版とEPSを組み合わせた緩衝構造を落石防護擁壁(幅:3m,高さ:2m)の前面に設置し,その緩衝効果について衝撃荷重載荷実験を実施した。その結果,1) 緩衝構造を設置ない場合には,入力エネルギーが87kJ(重錘質量:890kg,落下高さ:10m)において押し抜きせん断破壊が発生し終局に至ること,2) 一方,提案の緩衝構造を設置することで同一入力エネルギー下においても,擁壁には損傷が全く発生せず,優れた緩衝性能を有すること,などを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既設RC構造物の耐衝撃性向上効果への鋼繊維補強無孔性コンクリート(PFFRC)の利活用に関する検討として,落石防護擁壁の緩衝構造としての適用性に関する実験的な検討を実施し,その基礎的な特性を確認しており,研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
PFFRC版を利活用した緩衝構造について実験的な検討を進めるとともに,これまで実施してきたPFFRCはりおよび緩衝構造の耐衝撃挙動を適切にシミュレートできる解析手法の確立と妥当性検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:前年度の繰越金と当該年度の助成金を合算し試験体の購入を予定していたが,研究協力者から無償で提供いただけることになったため差額が生じた。 使用計画:構造解析を実施するために必要な汎用プログラムのレンタル代に充当する予定である。
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