研究課題/領域番号 |
21K04234
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
竹内 崇 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (80624395)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 突風 / 急激な気圧降下 / 数値流体計算 |
研究実績の概要 |
本研究は,木造建物の屋根葺き材の突風による被害低減を目指す上で,突風時に屋根葺き材に作用する力および突風下での物体の飛散に着目し,突風時の気圧降下が屋根葺き材の耐風性能に及ぼす影響の解明および突風下での物体の飛散性状の解明を目的としている。2022年度は,2021年度に続き,突風時の急激な気圧降下によって建物に生じる気圧差力の特性に関するより詳細な検討を,数値流体計算を用いて実施した。 風速急変時に生じる気圧降下を利用した既往の突風風洞実験を模擬した数値流体解析により,急激な気圧降下による内圧変動を再現するにあたっては,圧縮性流体として解析を実施する必要があること,数値流体計算により生じる防風箱内の静圧変動が正側に生じるか負側に生じるかは,圧力の基準点の位置により異なり,圧力降下を再現するには,風上側に基準点を取る必要がある。また,圧力基準点が防風箱から離れるほど圧力変化量は大きくなることなどを明らかにした。また,解析モデルをより簡略化し,気圧降下を直接境界条件として与える解析モデルを考案し,建物に複数の開口がある場合の内圧応答の評価方法を数値流体計算により検討した。複数の開口がある場合の内圧は,複数の開口からの流入を考慮して,既往の内圧評価式を拡張した式により評価できることを示した。また,複数個所に開口があり,それぞれに作用する外圧が異なる場合は,内圧変動が差圧力の向きにも影響する可能性があることを簡易化した解析モデルによる数値流体解析により明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請時の研究計画を概ね予定通り実施しており,順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
突風時の気圧降下だけでなく,風による外圧変動を受ける場合に屋根葺き材に生じる力を数値流体計算により明らかにする。複数開口を考慮した建物内圧応答式を用いて内圧を評価することで,数値流体計算における計算負荷を軽減させる。 また,数値流体計算結果を用いて,突風下において屋根面から放出される物体の飛散挙動を飛散シミュレーションにより調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,オンライン会議の活用により旅費があまり発生しなかったためである。 使用計画として,数値流体計算の実施に必要な消耗品の購入費用,および研究成果発表のための費用の拡充に当てる。
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