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2021 年度 実施状況報告書

高時間分解能画像計測と高次PDS-FEMを用いたスーパーシア破壊についての検討

研究課題

研究課題/領域番号 21K04241
研究機関近畿大学

研究代表者

沖中 知雄  近畿大学, 理工学部, 教授 (90298985)

研究分担者 Maddegedar a.L.  東京大学, 地震研究所, 准教授 (20426290)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードスーパーシア破壊 / 画像計測 / PDS-FEM
研究実績の概要

本研究の目的は,断層のスーパーシア破壊(超せん断破壊)の発生に与える地盤の不均一性の影響を,実験と数値解析を用いて明らかにすることである.本研究では実験室内でスーパーシア破壊を再現し,画像計測を用いて破壊の進行条件と進行状況を明らかにする.画像計測には毎秒1,000万枚撮影可能な超高速ビデオカメラを適用し,時間分解能の高い画像計測を行う.
本年度はスーパーシア破壊を伴う実験を行う目的で,衝撃試験装置の製作,装置の性能評価,実験に適した供試体の作成を行った.本年度に製作された試験装置では,空気圧を用いて加速したΦ25×50の鋼製円筒飛翔体を装置上に固定された供試体に衝突させることにより,供試体中でスーパーシア破壊を発生させる.供試体固定部には載荷装置を組み込み,圧縮荷重下でのスーパーシア破壊の検討を計画している.
製作された試験装置の性能評価として,飛翔体の飛翔速度の計測を行った.計測には超高速ビデオカメラによる画像計測を適用した.計測結果として空気圧1.2MPaで飛翔体の速度は約53m/s,1.4MPaで約67m/sに達しており,製作された実験装置はスーパーシア破壊を発生させるために十分な能力を有することが確認された.
供試体として透明脆性材料であるエポキシ樹脂を用いて140×140×10mmの矩形供試体を作成した.矩形供試体を底面から70mmの位置で底面に平行に切断し,切断面を滑面加工した上で上下部を再度接着することにより衝撃試験用の供試体を作成した.接合面上部に横軸方向に衝撃荷重を載荷することで接着面に沿って破壊を発生させる.本年度に行った予備実験では,切断面に沿った破壊の進行速度は300m/s程度であった.スーパーシア破壊は再現できなかったが,接着面に沿って破壊を発生させることには成功し,予備試験としては十分な結果を得られた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度はスーパーシア破壊を発生させるための衝撃試験装置と供試体の製作を行った.空気圧を用いて加速された飛翔体を高速で供試体に衝突させ,衝撃載荷により供試体中でスーパーシア破壊を発生させる目的である.製作された装置の飛翔体は空気圧1.2MPaで約53m/s,1.4MPaで約67m/sの速度を実現しており,スーパーシア破壊を発生させるために十分な性能を有していることが確認された.また供試体として透明脆性材料であるエポキシ樹脂を用いて140×140×10mmの矩形供試体を作成した.矩形供試体を底面から70mmの位置で底面と平行に切断し,切断面を滑面加工した後に上下部を再度接着することで,載荷試験用の矩形供試体を作成した.接合面上部で接合面に沿った方向に衝撃荷重を載荷することで接着面に沿って破壊を発生させる.本年度は予備実験として飛翔体の速度を落として衝撃載荷試験を行い,画像計測を適用した.予備実験では接合面に沿った破壊の進行速度は300m/s程度となり,スーパーシア破壊は再現できなかったが,接着面に沿って破壊を進行させることには成功した.また破壊の計測に超高速ビデオカメラを用いた時間分解能の高い画像計測を適用することに成功した.
また数値解析の準備として,本年度は2次元動的PDS-FEMの定式化,ランダムなボロノイ母点に基づくボロノイ分割によるメッシュ作成を行い,予備解析として準静的なき裂進展解析を行った.
以上の検討結果から,本年度の研究は実験と解析の面で初年度として十分な成果を上げたと考えられる.

今後の研究の推進方策

来年度の研究計画を実験と数値解析に分けて記述する.
実験では,画像計測用同期装置の製作,衝撃載荷装置の改良,スーパーシア破壊を引き起こす載荷条件の決定を予定している.以下に各項目について詳述する.画像計測用同期装置は飛翔体の衝突により供試体中でスーパーシア破壊が発生するタイミングと画像計測用の超高速ビデオカメラの撮影タイミングを合致させるための同期装置である.本年度は導電性塗料を利用した遮断トリガーを使用し,飛翔体による導電帯の切断を利用して同期を図った.しかしながら切断タイミングをマイクロ秒単位で再現することが困難であり,高時間分解能な画像計測の成功率の低下に繋がった.そこで来年度はフォトダイオードを利用した光学センサーを作成する.レーザー光の遮断を利用することで同期の精度の向上を試みる.実験装置の改良は,供試体固定部に設置された圧縮試験装置について行う.現状の設置方法では圧縮試験装置の一部が画像計測の妨げになり,計測領域が制限されている.このため,圧縮試験装置の設置位置・角度,固定方法の再検討を行う.以上の検討を行った上で,衝撃載荷によるスーパーシア破壊試験を行い,スーパーシア破壊を引き起こす載荷条件,境界条件についての検討を行う.画像計測を適用し,破壊形態の確認を行う.
数値解析については,本年度の成果をベースとして2次元動的PDS-FEM解析を実施する.先ず破壊を伴わない波動伝播の解析を行う.解析結果を無欠陥の供試体について実施した衝撃試験の画像計測結果と比較し,衝撃載荷による載荷条件を同定する,同定後に欠陥を含む供試体中の2次元き裂進展解析についての検討を行う.

次年度使用額が生じた理由

本年度に製作した衝撃装置の納品が遅れたために予定していた実験の一部が中止となり,供試体作成材料の購入費の一部が執行されなかった.来年度に改めて材料を購入し,実験を行う予定である.

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公開日: 2022-12-28  

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