本研究の目的は,既設住宅などにも経済的に適用可能であり,かつ効果的に液状化被害を低減可能な液状化対策の開発である.令和5年度は繰返し地震動に対する排水ドレーンの過剰間隙水圧抑制効果,浮き型格子状地盤改良に複合型改良体を用いた場合において繰返し地震動が作用した場合の液状化対策効果について検討を行った. 【検討①】繰返し地震動に対する排水ドレーンの効果:土層の片端にステンレスメッシュケースに珪砂2号を投入した排水ドレーンを設置し,平面ひずみ条件を満足した二次元振動台実験による検討を行った.検討の結果,排水ドレーンが設置されている場合は設置されていない場合に比べて繰返し地震動を受けるたびに,地盤の相対密度が増加しなくても著しく液状化強度が増加した.その結果,本検討では入力加速度が200Galを超えているのにもかかわらず前震を3回与えた後の4加振目ではほとんど過剰間隙水圧が上昇せず,液状化が発生しないことを確認した.以上を踏まえて,排水ドレーンを設置した模型地盤で複数回の加振を行った結果,加振回数に応じて相対密度の増加による効果以上に地盤の液状化強度が高くなる傾向を過剰間隙水圧からも確認できた. 【検討②】複合型改良体を用いた浮き型格子状地盤改良の液状化対策効果:不透水性改良体の上部に排水性改良体を組合わせた浮き型格子状地盤改良を土層内に設置し,複数回の前震を与えた後に偏心した模型構造物を設置して平面ひずみ条件を満足した二次元の振動台実験を行った.検討の結果,前震が無い条件では全深度が排水性改良体のケースが最も高い液状化対策効果を示したのに対し,3加振目においては複合型改良体を用いたケースも全深度が排水性改良体のケースと同様にほとんど液状化被害が発生しないことが明らかとなった.
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