本研究は,地震で被災した熊本城石垣や豪雨で崩壊した丸亀城石垣等を調査対象に,石垣表面の情報が得られる石垣断面形状簡易測量,石垣の伝播速度測定,石垣隙間面積の画像解析とともに,本研究で新たに石垣内部の情報が得られるカメラによる空洞調査と地中レーダ探査を実施することで,石垣石のかみ合わせや石垣背面栗石層の密実さを定量的に把握し,石垣表面と内部の情報を融合して城郭石垣の力学的安定性を評価しようとするものである。 ・丸亀城天守台石垣の石垣断面形状測量や地中レーダ探査の結果をもとに,累積示力線法や円弧すべり等による地震時の安定性診断を実施し,地震時の安定性を満足ていることが明らかとなった。 ・熊本城跡での常時微動計測による地層区分を導入した三次元地盤図を作成するとともに,石垣被災に及ぼす地盤の影響について検討を行った。 ・仙台城や白河小峰城での石垣被災現場において常時微動測定を実施し,石垣被災に盛土厚さが大きく影響していることを明らかにした。
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