研究課題/領域番号 |
21K04256
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
柴 錦春 佐賀大学, 理工学部, 教授 (20284614)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 真空圧密 / 粘土スラリー / 圧密理論 / 化学添加物 |
研究実績の概要 |
2021年度の研究は主に以下の二つの成果を得た。 (1)粘土に化学物質および固化材の添加によるミニPVDユニッドセルの圧密特性への影響。用いた装置は径向排水オエドメーターである。供試体の寸法は直径60 mm、高さ20 mm、中心のドレーン(ミニPVD)はジオテキスタイルを巻いた直径8 mmのばねである。添加物は間隙水中の濃度が0.1 M-1.0 MになるNaCl、或いはCaCl2、乾燥重量1-2%の石灰、2-4%のセメントであった。圧密荷重は載荷40 kPaと真空圧80 kPaの組み合わせであった。間隙水中の陽イオンの価数と濃度の増加により、粘土の圧密速度は速くなった。例として、1.0 M CaCl2を添加した試料の圧密度50%になる時間は無添加の場合の約1/3になった。1%の石灰或いは2%のセメントを添加した場合、圧密速度は20-30%増加した。2%の石灰或いは4%のセメントを添加した場合、圧密速度が40-50%増加したが、粘土粒子間のセメンテーション効果により、沈下量が10-15%程度減少した。添加物による粘土の微視的土構造への影響について、現在電子顕微鏡写真等を用いて検討中である。 (2)力学及び幾何的非線形を考慮した水平ドレーン(PHD)による圧密度計算法。PHDを用いる浚渫粘土スラリーを真空圧密することは有限ひずみの問題であるが、この問題に対する圧密理論はない。仮想時間の概念を用いて、力学及び幾何的非線形を考慮したExcelシートで計算できる圧密度計算法を提案した。この方法を適用して、PHDによる大型真空圧密モデル試験を分析し、提案法の有効・有用性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
力学及び幾何的非線形を考慮した水平ドレーン(PHD)による圧密度計算法の確立は計画より早めにできた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の課題ー2について、理論的なフレームワークができたので、これから課題―1:粘性土の微視的土構造及び圧密特性に間隙水化学性質の影響の評価法、と課題―3:見かけ目詰まりの影響を低減する方法の検討を中心にして研究を進める。 課題ー1について、土の微視的土構造の変化の検討及び土の間隙水中陽イオン濃度等による定量評価法の確立。 課題ー3について、今まで検討してきた化学物質及び固化材等添加物の影響を継続的検討する以外に、新しいドレーン材の開発も視野に入れて研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:コロナ―の影響で国内外の学術会議に参加できなく、旅費等が残った。 使用計画:2022年度研究成果の発表のため、国内外学術会議参加の旅費、実験補助の謝金として使用する。
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