研究課題/領域番号 |
21K04257
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
椋木 俊文 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (30423651)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 超音波 / 振動 / 熱伝搬 / X線CT |
研究実績の概要 |
本研究では,2021年度は油で汚染した粒状材料を超音波で乳化させ,除去する実験を行い,その浄化量を定量化する検討を行ってきた.浄化量の変化は超音波振動に伴う地盤材料の構造変化が影響する.2022年度では,超音波振動に伴う地盤材料の構造変化,温度変化に着目し,これらを評価する実験を実施した.実験においては,飽和地盤に直接超音波を照射可能な装置を導入し,実験装置を試作した.ここでは,超音波振動のエネルギーを変化させ,X線CT画像の構造変化から伝搬距離を評価し,またサーモグラフィーを用いて熱伝搬距離を評価した.また,地盤材料を砂質系材料だけでなく,粘土系材料も用いて,超音波による影響を観察した.以下にその結論を列挙する.(1)超音波発生装置の出力電力280.4Wでは66.7Wの時と比較して温度上昇範囲が8cmから14cmへと大きくな っており,超音波のエネルギーを上げると超音波の温度上昇能力が届く範囲が大きくなる.(2)出力電力280.4Wで超音波を照射した時,65.2℃から温度上昇が見られなかったことから,超音波を照射した時の温度上昇には上限がある.(3)珪砂表面からの距離が大きくなるとガラスビーズの移動距離が短くなることから,超音波照射距離の増加に伴い超音波照射時の土の構造変化は小さくなる.(4)超音波照射方向の砂地盤の密度状態は,ホーン先端に近いところほど密な状態になる.(5)珪砂表面から2cmから4cmの所で珪砂が締固められており,この層が蓋となって気泡が排出されない状態となることで珪砂表面から6cm以下の部分に気泡が増え密度が低下している.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度に試作した模型土槽に超音波照射装置をセットする一連の実験装置を修正することができた。特に超音波発生装置の電力の動きをオシロスコープで捉えるシステムを構築し、超音波入力波を定量評価できたことに満足している。これらの成果は、1編の卒業論文としてまとめられている。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は最終年度であるため、2022年度で試作した実験装置を用いて、油の浄化状況を定量評価し、2021年度の成果と2022年度の成果を総合評価する実験を実施する予定である。また、これらの成果は、2024年度に学会発表する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初想定していた学会発表と情報収集のための国内出張がコロナウィルス感染拡大防止の観点からオンライン開催になったためや、実験装置試作のための部品が安価に入手できた部品もあり、当初想定よりも予算執行が進まなかった。ただし、その後の研究進捗で、乳化実験の使用する材料費が、想定よりもかかることもわかってきたため。
|