最終年度において,本研究では,サーモトレーサーによる温度変化の定量評価とCT画像解析による粒状材料を対象とした構造変化,研究装置の開発を行った.超音波照射実験においては,超音波照射時間が10分の場合と50分の場合における供試体の表面温度の評価を行った.地盤材料中への超音波直接照射実験においては,CT画像解析を用いて珪砂の構造変化を読み取った.装置の試作においては,斜め方向から超音波を照射させる装置を作り,砂地盤と粘土地盤を対象に斜め方向からの超音波照射を行いCT画像解析による評価を行った以下に結論を列挙する.
(1) 超音波発生装置の出力電力280.4Wでは66.7Wの時と比較して温度上昇範囲が8cmから14cmへと大きくなっており,超音波のエネルギーを上げると超音波の温度上昇能力が届く範囲が大きくなることが分かった.(2) 出力電力280.4Wで超音波を照射した時,65.2℃から温度上昇が見られなかったことから,超音波を照射した時の温度上昇には上限があることが分かった.(3) 珪砂表面からの距離が大きくなるとマーカとして設置したガラスビーズの移動距離が短くなることから,超音波照射距離の増加に伴い超音波照射時の土の構造変化は小さくなることが分かった.(4) 超音波照射方向の砂地盤の密度状態は,ホーン先端に近いところほど密な状態になることがわかった。(5) 珪砂表面から2cmから4cmの所で珪砂が締固められており,この層が見かけ上遮水層となり気泡が排出されない状態となることで珪砂表面から6cm以下の部分に気泡が増え,見かけの密度が低下していることがわかった.
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