研究課題/領域番号 |
21K04258
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
末次 大輔 宮崎大学, 工学部, 教授 (30423619)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | セメント改良土 / 健全度評価 / 非破壊 / 弾性波 |
研究実績の概要 |
沿岸部の軟弱地盤地帯で使用されるセメントや石灰混合処理粘土は,海水によるカルシウム溶脱作用を受け,せん断強さや剛性が低下し軟弱化する。長期間使用されるセメント固化処理土の健全度を調査しそれを評価する方法は無く,原位置における固化処理土の状態を把握する手法が求められる。本研究では弾性波を用いて粘土地盤中の固化処理土の劣化進行状況の定量的に把握する方法について検討する. 令和3年度はセメント処理粘土中の弾性波の基本的な伝達特性を明らかにするために,セメント処理粘土の状態が弾性波の伝達特性に及ぼす影響を調べた.せん断波と粗密波を送受信可能なディスクトランスデューサーを用いた実験システムを構築し,セメント添加量,養生期間および飽和度の異なるカオリン粘土の弾性波の伝達波形について検討した.セメント処理土中のせん断波速度は飽和度の影響は受けず,セメント添加量が多く養生期間が長いものほど大きくなり,せん断波速度と剛性い一義的な関係があることを確認した.一方,粗密波速度はセメント添加量が多く養生期間が長いものほど大きくなる.また,飽和度の上昇とともに伝達速度も大きくなることから,処理土内部状態の影響を受けることがわかった.飽和状態での粗密波速度は水中を伝達する音波の速度とほぼ等しくなるが,セメント添加量や養生期間の違いによって受信波の振幅など処理土内部を伝達する波形が異なることがわかった.これらの実験結果より処理土内部を伝達する粗密波はその内部状態の影響を受けていることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度はセメント混合粘土中の弾性波の基本的な伝達特性を明らかにするためにセメント処理粘土の状態が弾性波の伝達特性に及ぼす影響を調べた.まずは,せん断波と粗密波を送受信可能なディスクトランスデューサーを用いた実験システムを構築し,セメント添加量,養生期間および飽和度の異なる処理粘土の弾性波の伝達波形を明らかにした.研究の進捗はおおむね予定どおりである.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,飽和状態にある健全なセメント処理粘土中を伝達する粗密波の伝達波形を詳細に分析するとともに,セメント処理粘土の剛性,間隙構造との関連性について検討する.そして,劣化が進行するセメント処理粘土を伝達する粗密波の伝達波形を調べ,健全な処理粘土の差異を実験的に明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に関わる各種作業の省力化や効率化を図り支出を抑えた.コロナウイルス感染拡大により,予定していた調査や学会参加を控えた.繰越金は令和4年度の研究必需品の購入や,研究論文作成に係る費用に充て有効に活用する.
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